発声と音声表現のQ&Aブログ

ヴォイストレーニング専門の研究所内外の質問と、トレーナーと専門家のQ&Aブログです。 あくまで回答したトレーナーの見解であり、研究所全体での統一見解ではありません。また、目的やレベル、個人差により、必ずしもあなたにあてはまるとは限りません。参考までにしてください。 カテゴリーから入ってみると便利です。 【rf :他に詳しく答えているのがあるので、それを参考にしてくださいという表記です。】 引き続き、ご質問もお待ちしています。できるだけ順次とりあげていきます。

15.役者/芸人/声優/ミュージカル俳優/アナウンサー

Q.アナウンサーの話し方が、日本語の話し方の見本でしょうか。

A.あなたがそう思えば、それでよいと思います。それぞれの職業に必要条件があって、アナウンサーの場合は、正確に報道するということをもっぱらとしています。ですから、わかりやすい表現で、正しく聞き取りやすいように伝えるということが最優先されます。 …

Q.役者にとって、声と同じように必要なものは何でしょうか。☆

A. 目に力があること、目に緊張があることです。そのためには魅力のあるものを見るトレーニングがよいのです。恋をすると、瞳孔が開いて、目が大きくなり美しくなるのです。舞台のメイキャップでの目、漫画の目の大きさを参考にしてください。

Q. 舞台出身ですが映像に向いていないといわれました。

A. 舞台で通用する大きな声は、映像になるとよりていねいに細やかに表現しなくてはなりません。全身で見せる分、顔の表情や細かい動きに捉われない舞台と部分的なフォーカスをする映像の違いです。一言でいうと、舞台と映像の違いは、顔のアップがあるかな…

Q.森田美幸さんの声が好きです。

A. NHKのアナウンサーとして、NHKだけでなく、多くのアナウンサーから、魅力的な声、目標となる声とされています。落ち着いた深みのある声だからです。日本のアナウンサーは、浅く高い声、子供っぽい声の人の方が多いので、なおさら、憧れられるのだと思い…

Q.一流のスピーチとは、どんなものですか。

A.事前に言うことを決めておいて、そのまま言うのではなく、即興の神がかり的なものでしょう。スピーチの後で、言うことがこうなのだとわかるようなものが、すごいスピーチです。結果として、今、言うべきことを、しっかりと適量で適切なことばで述べられ…

Q.日本で話せる能力のある人は、どういう人だったのですか。

A.福沢諭吉がスピーチを演説、ディベートを討論と訳し、慶応義塾大学に三田演説館をつくりました。そして、全国に演説所ができ、主に、弁士や政治家が話したのです。他に学者、先生、村長、住職などでした。口ききは特技で、顔役、仲介人ということになり…

Q.なぜ、日本人は、話が下手だったのですか。

A.農業社会では、さほど話すこともなかったのです。黙っていればよかったので、話を組み立てることなど必要もなかったのです。

Q.人前で話すことは、特別なことであったのですね。

A.はい。話すということは、そのまま説教と話芸となっていたのです。そして、それは、浪花節、講談、落語などになっていくのです。

Q.説得力をもつように論理的に話したいです。

A.話し続けていくと、話も行き詰り、論破されることもありますが、そうして論理的に鍛えられていくのです。相手に論破され、異なる意見を受け入れて、学んでいくのです。

Q.質問に好ましさを感じさせつつ応じる方法はありますか。

A. 池上彰の「いい質問ですね」は、キラーワードです。 「その通り」「さすが」「すごい」「お目が高い」 「なるほど」などでは弱いですね。えらそうなので使わない方がよいでしょう。

Q.会場を盛り上げるのに、「楽しんでますかー?」を連発しました。

A.コンサートでもなければ「楽しんでますかー?」よりは、「楽しい(ですね)」の方がよいでしょう。 人に聞くより自分の気持ち、それも楽しい気持ちを出す方がよいです。まずは、自分の思い、考えを伝えてからにしましょう。もちろん、ケースバイケースで…

Q.「〇〇に書いてあるのですが…」と資料をみて説明しては、よくないのですか。

A.書いてあるものは、話されなくとも、読めばよいと思ってしまいます。その人の口から聞きたいのは、書かれていない情報です。また、ネットでちょっと調べたらわかるようなことも話さなくてよいのです。相手にもよりますが。

Q.何となく会場の雰囲気がよくなく感じたときは、どうすればよいでしょうか。

A.空気が悪いときは、場によりますが、フォローできるなら「空気、悪いですね」と言ってもよいでしょう。悪いという空気が読めているということで信頼感となります。不慣れで空気の読めていない人の話は聞きたくないでしょう。実際に窓開けるのも、空気を…

Q.質疑応答で、何でも受け付けたくないのですが。

A.「どんな質問でもよいです」「なんでも聞いてください」では広がりすぎるなら、「以前、こういうことを聞かれました」のように限定していくとよいでしょう。

Q.レクチャーでは、「皆さん」を使うのですか。

A. 私は、「皆」、「全員」、「すべて」ではなく、「あなた」、「ある人」、「あるクライアント」と絞り込んで伝えるようにしています。

Q. 断定調で言わないと説得力が出ないと言われました。

A.「絶対に」とか、よく断言している人もいますが、私は使いません。 「~の可能性はあります」「~かもしれません」「~となる人もいます」などは、向こうの信頼したい気持ちを冷ますかもしれませんが、私は、冷ましてでも「わからないことは、わからない…

Q.話の最後がダラけて終わることが多いです。

A.制限を設けてダレないようにします。「もう少しだけ話をさせて…」というのでなく「最後に、もう一つだけ」のように引き締めましょう。

Q. 見物客に声掛けするときは、何と呼べばよいのでしょうか。

A.「お母さん」「奥さん」「おじさん」でなく、「お客さん」「お姉さん」「お兄さん」と呼びましょう。60歳くらいまでOKなときもあります。「ご主人」「だんなさん」「先生」なども使えます。地域さもあるので研究しましょう。

Q.クロージングがうまくいきません。

A.問題を把握し、共有して共感する話にします。 解決策の提示、最大のメリットから伝えることです。 解決後のイメージ、メリットの享受後のことを伝えましょう。そこできっかけをつかんだら、クロージングとなります。

Q.どのように相手が話を聞くように仕向けたらよいでしょうか。

A.一つは、メリットを伝えることです。それには、何が問題であり、どういうことによってどう解決できるか、そして、どういう未来が待っているかなどを加えることです。 もう一つは、おもしろい、楽しい、だから一緒にいたいとか、応援したいとなるようにす…

Q.ベテラン芸人が噛まないのは、なぜでしょうか。[E:#x2606]

A.声が豊かで、音色も質感もあり太いと、少しくらい噛みそうになっても、ひびきのなかでフォローでき、間違えたようにみえにくくできます。声が豊かになったベテランのアナウンサーなどは、こういうテクニックを使っています。パワフルな声のあるお笑い芸…

Q.ドラマチックに演じるには、反社会的な経験がいると思いませんか。

A.どのくらいに劇的なのかは、人によりますが、本人が選んで生きていくしかないのです。演じるのは虚構の世界のなかのリアルです。必要とされるのは、実体験そのものではなく相手のイマジネーションをよびおこすことです。

Q.アナウンサーの話し方とお笑い芸人のしゃべりは、どうして違うのですか。

A.アナウンサーは、報道として、きちんと無駄なくしゃべる、論理的で定型にはまっている文章を読みあげ伝えます。たとえば、アナウンサーの話し方教室は、日本語の授業のようで、スキがありません。情報を正確に、個人的感情を入れずに、キャラを立てずに…

Q.演劇やミュージカルのわざとらしさは、日本人の日本語だから、そうなるのですか。

A.公に使う言語表現としては、日本語と日本人の両方に問題があると思います。日常レベルでパワフルな声で対話が成立していないので、それを舞台でやると、せりふも歌も、すごく大げさになります。 しかし、このところドラマなどでは、日本人の日本語らしく…

Q.せりふや歌詞をいつの間にか忘れてしまいます。

A.覚えるときに、ストーリーをつくったり、振りをつけたり、そのシーンを描いた絵を見たり、決まった視線で動きを捉えたり、何かとくっつけて覚えておくとよいでしょう。野外に出て、しぜんのなかで練習したり、人の顔をみながら身体に刻み込むとよいでし…

Q.舞台で演じるのに、いろんな実体験は必要ですか。

A.今、関心のあることから学んでいくことです。その現場へ行って体験することはよいことです。生活にリンクしないと、ものにはなりにくいと思います。いろんなところでいろんな体験をするにこしたことはありませんが、一つの体験から多くを学べることがよ…

Q.役者は、何にでも変身できて楽しいと思います。

A.役者は、もっとも身近な人にしかみせない顔や体、いえ、どんな人にも見せたくない表情や振る舞いを、迷いなくみせなくてはならないのです。大きな自己犠牲、自己放棄の上に成り立つのが、演技です。人格まで変えてしまうことからみたら、全裸になること…

Q.最近のTVドラマの俳優、女優さんの声に力がないと思うのですが。

A.私見では、モデル事務所の映像系の美女やイケメンは、声の力がないことが、ほとんどです。育ちのなかで練られてきていないのです。事務所もルックスやスタイルで選ぶからです。見た目は、才能というか、本質の一面でしかありません。 本当は、誰でもリア…

Q.役者は、演じるのに、化けるのではないですか。

A.役者は、ガラスの仮面をかぶるというのですが、どちらかというと、服も皮膚も脱ぎ捨てるわけです。人間の精神を丸出しにする、自分という人間を忘れ去って化けるのですから、自分の居場所はありません。

Q.俳優は、自我を出してはいけないのですか。

A.作者の意図を演じる役として俳優がいます。その監督やコントロールを演出家がするわけです。そこでは、俳優の自分は消し去らなくてはいけないのです。ましてや、自我は、不要で邪魔です。