A.歌唱指導では、よほどすぐれた歌い手以外は、全体のバランスをとり、演奏のラインからはみ出すことを防ぐことが優先されます。聴き手が下手だと感じる要素があれば、隠さなくてはなりません。きちんと構成し、聴かせどころを強調し、曲の輪郭をハッキリさせ、表現らしさを引き立たせます。加えて、今はステージ表現としての音響や視覚効果を考慮することも不可欠です。
それに対して、本当の基礎のヴォイストレーニングでは、根本的な声の改革を求められます。1~2割の改善では、大して変わりません。しかし、ほとんど即効的に、表向きをよくするだけのことがヴォイストレーニングと思われているのは残念なことです。(♭)