A.この問題は、赤い鳥やハイファイセットのあたりからいろいろあります。宇多田ヒカルさんになると、日本語の言葉としての意味を、歌うときには英語の強弱アクセントのように置き換えていますから、言葉はわかりにくくなります。サザンオールスターズの桑田さんも、言語不明瞭といわれたものでしたが、彼もリズムと音色(彼のは、やや口の中でのつくり)にこだわったためでした。
歌は言葉がはっきりと聞こえないといけないということでは、一番苦労していたのは、声楽から転向した昭和の初期(淡谷のり子さん、藤山一郎さんらの時代)だったと思います。とても小さな声でひびきすぎないように、抑えて歌っていたのです。そこで強弱よりは、長短、大小で区別するのが、日本人の特長です。
今やリヴァーヴを効かせるあまり、どれもこれも歌手独自の生の音色が薄まり、どれも似てきたようになってきたのは、残念なことです。
外国人が疑問に感じるほどの、今の日本人歌手の無理な高音やハイテンポは、形を先行させてコピーしたがる日本人らしいつくり方の一例と思います。(♭ф)