バンドの上にヴォーカルが乗っかっているというよりも、作詞作曲、バンドのキャラクター付けというのは、ヴォーカルがやっている場合が多いでしょう。要は、ヴォーカルがフレームを決めている。ただ演奏面では、ヴォーカルがバンドを抑えるだけの力がないから、浮いて見える場合もあります。それはそれぞれのバンドによるケースで違うでしょう。
そしてキャラクターとしては、総合演出力を持っている人が多い。どちらかというと、そういう人はヴォーカルをやるよりも、映画監督とか、演劇の脚本に向いている場合が多い。実際にそちらの方の才能を開花させる人もいるでしょう。でも日本では、歌唱力が不足していても、アイデア、独創性があれば、ヴォーカルとして充分に通用すると思います。
日本のヴォーカルで、ヒットした人の半分以上は、ミュージシャンとは違うのではないでしょうか。向こうの場合は、アイドルで出ても、残っている人は、まぎれもなくミュージシャンで、アーティストです。どちらにしても、音楽の能力がないのに、ヴォーカルをやるということはありません。私はお笑いも歌い手と同じように考えているのですが、その人の才能がどこにあるかということ、どう表現や音楽と接点をつけてやっているかということだと思うのです。だから、あまりこのようなことを問うても仕方ないことでしょう。感じ方とことばの使い方での違いにすぎません。