A.プロの人に「歌わないでください」とよくいいます。最近の私の言葉の使い方では「歌っている」はよくないことと表されることが多いのです。うまいとか技術があるとか、この人はプロだと思うことと、心に伝わってくるとか感動するとか、ジャンルや時代を越えて、世界中へ伝わっていくのとは違います。歌っているのは前者、歌えているというのは後者です。
その時代にその国だけで流行る歌もあります。でも、どこかで時代も国も超えないのです。トレーニングというのは究極の可能性を目指して、目的を高くします。
劇団に15年以上いるような人は、経験は深いのです。年間に300ステージやっている、そういう人たちも来ます。そこに何を与えるか、ということです。うまく歌うのでなく、どう伝わるように解決するかを探るのです。ものまねのうまさは、何の価値もないのです。世界にはいくらでもうまい人がたくさんいますから。