発声と音声表現のQ&Aブログ

ヴォイストレーニング専門の研究所内外の質問と、トレーナーと専門家のQ&Aブログです。 あくまで回答したトレーナーの見解であり、研究所全体での統一見解ではありません。また、目的やレベル、個人差により、必ずしもあなたにあてはまるとは限りません。参考までにしてください。 カテゴリーから入ってみると便利です。 【rf :他に詳しく答えているのがあるので、それを参考にしてくださいという表記です。】 引き続き、ご質問もお待ちしています。できるだけ順次とりあげていきます。

Q3908.吸うように歌うといわれている発声は正しいのでしょうか

A.まずは吐くことを理解することが重要だと考えます。吐くとはつまり自然に横隔膜を上げてゆき、気持ちよく前方へ息を送っていくことです。この段階で変な癖があるひとはそのあとの課題に進めませんし、進んだところで壁にぶつかるだけのことです。このしぜんに横隔膜を上げていく息の支えをソステーニョといいます。しかし、ソステーニョの支えだけで歌うのは無理があります。そこで横隔膜を下へ圧縮しながら歌う、アッポッジョの支えもつかった歌い方が必要になります。ここで出てくるのが「吸い込むように」という表現だと思います。吸うようにして歌うとは、横隔膜を圧縮させて歌うやり方のわかりやすい言い方なのでしょう。カルーソが声は後ろ側に向かって歌われる、あるいは、喉が胃に近づいていく、卵を飲み込むかんじ、などと形容してました。ただし、わたしは、カルーソーはともかく、上記とは反対の立場です。というのも「吸い込む」ことを技法というか、方法論として固めすぎ、また、もっと悪いのは吸い込む「方向」を絶対化してるところです。この吸い込む方向が軽い声と重い声、高い声と低い声、ぜんぶに共通であるとするならばこれほどの発声の無知はないと思います。 (♭∀