A.素質とは、様々な見方があります。楽器として頑丈な、大きなものをもっている人は、発声が理にかなったときに豊かな響きを得ることができるでしょう。しかし、楽器を扱うテクニックが備わっていないと発声の欠陥がわかりやすい形で出てきます。楽器が小さめな人は、低音発声に限界がありますし、大きな豊かな音色は前者と比べて獲得しづらい点があります。しかし、扱いやすい楽器であるため、多少の発声の欠陥があってもある程度よい声を出すことができます。どちらがよいかは、一概に回答できかねます。
育ちについては、まず、育った親の発声に一番影響を受けると思います。それから、個人の性格の問題で、明るくハキハキと喋ってきたら、それだけで成長していく過程でどんどん発声器官が鍛えられますが、暗くモゴモゴと内に篭った声で喋ってきたら、発声器官の充分な発達なしに大人になってしまいます。特に、後者の人は相当な覚悟がないと、ヴォイストレーニングによって声を変えていくことは困難を極めます。一般生活の中では、声が美しいかよりも内容をわかりやすく伝える能力があるかの方が重要で、すなわち素質よりも育ちの方が重要かと思います。(♭∀)