Q.歌で食べられないので、他の仕事で食べながら続けたいのですが。
A.私は人生を謳歌するということで、その人が他の人のために、仕事などなんでもよいのですが、やっているなら、それも歌だと思っています。そこでは、話したり笑ったりしているでしょう。多くは声を通じてコミュニケーションを取り合っているのです。
Q.ヴォイストレーナーなら歌手にも役者にもなれるのですか。
A.歌だけがうまくても歌手になれません。声だけがよくても役者になれません。現実に何を表現としてなしているのか、そこでみています。声は、そのためのツールに過ぎないからです。きれいな声が出たり、高い声が出さえすれば、歌で食べられると思っている人がいるようですが。歌手は歌うのが仕事、役者は演じるのが仕事です。声が出たらよいだけではないのです。
Q.日本の芸能業界のガラパゴス現象をどう思いますか。
A.情報社会到来のおかげで本当によいもの、深いものは、おのずと世界へ発信されるようになってきています。昔のようにコネクションでとか、たまたまプロデューサーが居合わせてというような、シンデレラストーリーに頼らなくても、実力のある人が、成功する確率は、ずっと高まっています。
日本の文化は、とても深く、世界的にみてもレベルも高いものが多いです。これは50ヵ国以上巡った私が実感してきたことです。最近の日本のものの世界進出は、知られたらヒットするということであたりまえのことです。まだ知られていないよいものもたくさんあるので楽しみです。
ただ、文化、歌などでヒットするものの内容をみると、日本では、ヴィジュアル系のものに限られている。欧米のをまねたものでなく、日本独自のものしか世界進出できないということですから、当然のことが当然になってきたのでしょう。映画、音楽、特に、俳優、歌手などは弱いですね。
また、昔に伝えられて、そのオリジナルが母国にもなくなったのに日本では、そのまま残っているようなものもたくさんあります。戦争や革命のような大変革が少なかった日本のメリットといえましょう。