Q.今の実力と、目的とする実力は明示できるものですか。☆
A.声域、声量は、相対的なものでしょう。「まわりの人に比べて劣っていたのが、人並みになった」「自分の中で出しにくかったのが出しやすくなったのか」など、どちらも曖昧です。高い声も大きな声も人間としての限度もあるし、個別にその人の限度もあります。
ヴォイトレにおいて、結果(終点)はもちろん、始点(現状)を定めるのさえ容易なことではありません。だからこそ、ことばを使ってはっきりさせたいということになります。しかし、一つの目安としてのことばのイメージが一人歩きして、トレーニングの進行や効果を妨げている例も多いのです。
とはいえ、現実には「前よりよくなった」が連続していけば充分かとも思います。トレーニングにしろ、レッスンにしろ、その人の中では、やればやらなかったよりも大体はよくなります。相当やってからレッスンにいらっしゃる場合は、さらなる伸びしろがそれほどないということもあります。こういうときほど、どう目的を定めるのかがより大切です。
Q.なぜ、レッスンに通うのですか。 A.人によっては、急にハードに行うと壊しかねません。副作用も出ます。そこは注意しなくてはなりません。それは一人では難しいし、トレーナーがついていても、自分勝手にやりすぎて損ねてしまう人もいます。最初は、自分で自分のをみるのは難しいですから、レッスンに通うのです。
Q.目指す声のレベルの差はあると思うのですが。
A.私のところのトレーナーも、役者、声優の第一人者も、それぞれに違いがあります。でも、声は声としての完成度(話し声など応用性に富むものも含んで)をもっているのです。それに比して、学校の先生や医者、言語聴覚士、演出者、プロデューサーなどのいう、いい声は「ベターな声」にすぎません。彼らの声自体は、それにも値していないことが多いです。それはそれでよいのです。なかには、体やのどのとても弱い人もいます。(♭)