Q.トレーナーの感覚を学ぶのがレッスンですか。
A.トレーナーの感覚を正しい、自分のが間違いと思って正していくのは、トレーナーが絶対に正しいとき、かつ、自分がトレーナーと同じになるのが目的であるとき、この2つの条件がそろっているなら、正攻法といえます。しかし、どちらも成り立っていることは少ないでしょう。部分的に、ある時期において、そのように学べるのです。
Q.トレーナーの感覚とは、私は違うようなのですが、トレーナーは間違っているのですか。
A.普通は、トレーナーが正しく、自分が間違っていると考えるのですが、どうしてそう思うのかを考えてみましょう。
1、そのトレーナーが他のトレーナーと違う。2、自分の目指すところは、トレーナーの示すところと違う。3、よくわからない。
1なら、どう違うのか、2なら、ヴォイトレにおいて、トレーナーに学ぶ範囲はどこまでなのかを考えましょう。3では、大体、あなたがまだ雑で荒っぽく、トレーナーが細かく丁寧なことが多いと思います。
Q.自分とは違う感覚のトレーナーに何を学ぶのですか。
A.感覚というのは、トレーナーに限らず、一人ひとり違うものです。正しい、間違いでなく、トレーナーは、より細かく丁寧な基準をもっているのですから、浅い深いで考えるべきです。その深さを知っていくのです。声そのものよりもその基準を学びましょう。
Q.歌手とトレーナーと、その才能の違いをどう思われますか。☆
A.これだけで一冊の本くらいに、いろんなことが思い浮かびますが、本人が歌うのと、他人の歌をよくするのとの違いですね。そこでの才能というなら、声をよく知り、声をよく出せるトレーナーが、絶対にできない+αをもつのが歌手でしょう。また、歌を教えるのは、どの歌手でもある程度はできますから、そこで絶対に歌手のできないところに+αを導けるのがトレーナーでしょうか。
Q.ヴォイトレにたくさん行きましたが、何の意味も見出せませんでした。
A.どういう意味を見出したかったのかによりますが、意味を見出すのでなく、声を身につけるための一つの手段を求めるために利用するものです。
Q.他のスクールのレッスンに行きましたが、トレーナーのどこがすぐれているのかわかりませんでした。
A.トレーナーも十人十色です。多くの人は、すぐれているトレーナーと劣っている、未熟なトレーナーに分けたがります。すぐれたトレーナーであっても、うまく利用できない人もいるし、未熟なトレーナーであっても、とても効果を上げるような相性もあります。主体的に活かせるように、どう使うかも、あなたの実力のうちです。私のところでみる限り、すぐれている人、伸びる人は、どのトレーナーについてもうまく学んでいます。
Q.安いところでは、未熟な若いトレーナーが多いようですが、大丈夫でしょうか。
A.使う目的と手段によります。なかには、伴奏で正しく歌う(楽譜通りに)だけのトレーナーもいます。この目的では、楽器のプレイヤーやプロデューサーの方がよいケースもあります。
Q.トレーナーの指摘する間違いは、私には間違っていなくて正しいように思えるのですが。
A.そのギャップを知っていくことこそが、レッスンの意味です。
Q.トレーナーの評価と私の判断が、まったく違うように思うのですが。
A.何の基準で何を評価しているかにもよります。声や歌や演技については、トレーナーに限らずとも、あなたと同じくらいの実力の人なら、客観視ということでは、あなたよりも正しく評価できるものです。そういうのは覚えておくとよいと思います。自分のことが自分でわかりにくい分野なのです。それと、評価というものは、他人がするものなのです。
Q.どのトレーナーの方法、あるいは本、トレーナーが正しいのでしょうか。
A.それを取り上げてきたのが、このQ&Aなのですが…。そういう知識や理屈が、壁となるのです。壁を大きくすることよりも、その先に実践していくことに眼を向けてください。知ることでなく、できることが肝心なのです。(♯)