A.美空ひばりさんは、楽譜が読めないのに、3回聞いてすぐに歌えたといいます。また英語も話せないのに、彼女が英語で吹き込んだ曲は、ネイティブのように聞こえます。これも当時の日本人としては、画期的なレベルでした。これは、耳のよさと、その発声と構音、調整能力のよさにあります。まさに、超一流の歌い手は、超一流の聞き手であったのです。
しかも、他人の歌を歌うときにも、日本人の多くのプロのように、前に創唱した歌い手に影響されてしまうことはありませんでした。「美空ひばりの世界があった」といえば、簡単ですが、まさに彼女にミューズが降りてきて、歌を立ち上げたといえます。
もし、歌の課題がみつからなくて、自分の歌の力を計りかねている人がいたら、彼女の歌で比べてみてください。歌唱力の差とか歌の技術の存在に否応なしに気づかされると思います。そこで大きなギャップを知ることが、何よりも大切なことなのです。たとえば、「川の流れのように」の「でこぼこ道や」のフレーズだけでもよいでしょう。
お勧めは「愛、燦々と」「港町十三番地」「悲しい酒」「リンゴ追分」など。(♭)