発声と音声表現のQ&Aブログ

ヴォイストレーニング専門の研究所内外の質問と、トレーナーと専門家のQ&Aブログです。 あくまで回答したトレーナーの見解であり、研究所全体での統一見解ではありません。また、目的やレベル、個人差により、必ずしもあなたにあてはまるとは限りません。参考までにしてください。 カテゴリーから入ってみると便利です。 【rf :他に詳しく答えているのがあるので、それを参考にしてくださいという表記です。】 引き続き、ご質問もお待ちしています。できるだけ順次とりあげていきます。

Q3308.語りかけるとは?

A.まず台本があるとします。そしてその台本を読みます。一所懸命に読みます。どうでしょうか?読むことに集中しすぎて、ただ読んでいるだけになっていませんか?
もちろん正確に読んだり、よい声で読んだりすることは大切ですが、読むだけでは相手に思いを伝えることはできません。表面的な文字や文章は伝わりますが、それだけであるならコンピューターが機械的に読んでいるのと何ら変わりません。
そうではなく、読み手の思いをも伝えて初めて、読むことに意味が出てくるのです。そして、その際に「語りかける」ことが大事になります。
まずあるセリフに対して、そのセリフを読む際のリアルな気持ちをつかみます。そのリアルな思いがあって初めて、ことばが出てくるのです。思い→ことば、という順番が大事です。「思い」がない状態でしゃべってしまっては、単に表面的なことばだけが発されているだけになってしまうからです。そうではなく、「思い」があふれて、ことばになるということが大事です。
そしてこのあふれた思いをどこに向けていくかということが次の段階になります。相手役がいれば、その相手役に向けて発されますし、相手役がいないのであれば、お客さんに向けて発されることになります。このように、思いを作ってただ読むのではなく、その思いを届けていく対象をイメージして、語りかけていくことが重要です。この意識がないと、ひとりごとを話している状態になってしまいます。思いをしっかりと相手に向かって語りかけていくからこそ、思いが伝わるのです。
まずはイメージ練習を行なっていくのがよいかと思います。語りかける対象をイメージして練習してみましょう。

芸事や歌・セリフ等を習っていても、特別なことではなく、社会と結びつき、社会の常識も理解していなくてはいけません。自分ひとりだけで表現を行うことはできません。見たり聞いたりしてくれる人がいてくれるからこそ、表現することが成り立つのです。また学ぶ過程においては、そこに必ず人間関係が発生してきます。人間関係を無視して我がままに学ぶことは成り立ちません。