発声と音声表現のQ&Aブログ

ヴォイストレーニング専門の研究所内外の質問と、トレーナーと専門家のQ&Aブログです。 あくまで回答したトレーナーの見解であり、研究所全体での統一見解ではありません。また、目的やレベル、個人差により、必ずしもあなたにあてはまるとは限りません。参考までにしてください。 カテゴリーから入ってみると便利です。 【rf :他に詳しく答えているのがあるので、それを参考にしてくださいという表記です。】 引き続き、ご質問もお待ちしています。できるだけ順次とりあげていきます。

Q3825.昔の歌手の録音を聞くと、音程の処理の仕方が独特だと感じました。

A.昔の発声では、ブレスの圧力や勢いなどに依存する歌唱技術が昔は特に求められていました。また現在に至るまでこの方法は受け継がれているといっても過言ではありません。19世紀に隆盛を極めたベルカントオペラなどに見られるアリアのカデンツなどを聞くと、ブレス主導による歌唱法で音の分離や高音域の処理が行われているため、ヴォーカリーズの音の間に[H]の発音が聞き取れるのが何よりの証拠です。このようにブレスの働きによって音程や音色などをカバーする発声技術は従来盛んに用いられています。音程一つ上げるにしてもブレスの力によって音程を押し上げていたのが実情だったのです。これらの考え方の根底には息の圧力や勢いによって声をコントロールしようとする理念が存在したためです。(♭∀