A.これに関する問題は、男女や、発声のメソードの微妙な違いなどにもよって、用語使用の混乱自体が根底にあることを、まず、押さえておいていただきたいと思います。
さまざまな使われ方をしているなかで、同じことばが違うものをさしたり、違うことばが同じものをさしたりと、混乱しているようです。
私の中では、「話し声として自然に使われる声。喉にかかる声。無理に大きく出そうとがんばると喉が痛くなる声」を地声、高い音をどうしても出そうとするときに、「喉を使わずにほとんど息だけで出す声。喉に、とてもかけにくい声。どんなに無理に大きな声を出そうとがんばっても、喉が痛くならない声」を裏声として解釈して使用してきました。
私が高校生時代は、男性は裏声をほとんど使う必要がなく、また、使うこと自体が女々しく、少し屈辱的な感覚もあり、なるべく使いたくなかったこともあったので、ファルセットは、裏声とまったく同じ意味だと思っていました。ことばを変えれば、実声が地声、仮声が裏声として使っています。
これに対し、頭声は地声高音域、胸声が地声低音域、中声が地声中音域として、理解し使用しています。(地声を、胸声として使用しているひとは少なくないようです)
変声区、チェンジは、地声の中でのみ、あるいは裏声の中でのみおこない、地声から裏声に移行してしまうことは、「声がひっくりかえる」こととして、チェンジとしては、あつかっていません。
上記の頭声・胸声・中声は、男性にあてはめた場合で、女性の場合は、すべて裏声としてあつかっています。またこれは、声楽家の発声に関するもので、他のジャンルでは、事情が違ってくると考えています。(♭Ξ)