A.喉声とは、悪い意味で使われますが、そのために多くの弊害を生じているのは、残念です。そもそも、声は、喉を使わないと出せないのですが、喉を使うのがよくないと、思い込んでしまう生徒さんも少なくないようです。また、女性声楽家のほぼ全員が、よく発達し訓練された裏声を使うために、そのような誤解も出てくるのかもしれません。声楽以外のジャンルでは、男女を問わず多くの歌手が、活き活きと喉を使って声を出しています。
では、悪い意味での喉声とはどのような声かというと、喉に無理な力が入り、力が入っているわりには、それほど大きな声ではなく、また、一歩まちがえると喉を傷めてしまいそうな気配が、あきらかにする声といえばよいでしょうか。つまり、喉やその回りだけが、使われ過ぎていて、呼吸器全体を中心とした支えが、まったく欠如している声です。そして、喉がいくら強くても、それ以上に力をいれてしまうと、喉声ということになり、喉が弱ければ、いくら弱い力でも、そのキャパシティを超えてしまうと、喉声ということになります。100の力を出せる喉で、70の力の声を出しても喉声とは思われませんが、10の力しか出せない喉で、15の力の声を出せば、あきらかに危険な喉声です。無理をせず、こつこつと8割~9割の力の声を出し続けて、一歩一歩、喉を強化していくしかありません。
いくら喉が強く使われていても、声が朗々と響きわたり、まったく無理をしているようすが感じられない声を、喉声とは言わず、男性声楽家の多くは、そのような声です。(♭Ξ)