A.高音発声は、男性歌手と女性歌手によって多少異なります。男性歌手の場合は、アクートというテクニックを身につける必要があります。ミックスヴォイスでは、声門閉鎖筋が不充分にしか働かず、何年も何十年も歌い続けることにとてもリスクが伴うからです。中間音から高音にさしかかる音域をパッサッジョといいますが、このパッサッジョでの声のコントロールが高音発声を可能にするか否かの分かれ道となります。ベルカント唱法では、「パッサッジョをキューゾする」といいますがパッサッジョで音を開くような感覚になったら高音はどんどん喉に詰まっていき、苦しそうな声になってしまいます。音が閉じられるような感覚、または我慢するような感覚を喉の下、鎖骨のあたりで感じ続けることが大事になってきます。また、声の方向、角度を前から上のほうへ傾けることによって声帯の無駄な緊張感を緩和させる必要が同時に不可欠となります。このテクニックと、中音よりもさらに横隔膜での支える力をより強くすると、鋭角のある高音を出すことが可能となります。このテクニックを見につけるのに、ルチアーノ・パヴァロッティは7年の年月を要したと、自身の自伝でつづっています。(♭∀)