発声と音声表現のQ&Aブログ

ヴォイストレーニング専門の研究所内外の質問と、トレーナーと専門家のQ&Aブログです。 あくまで回答したトレーナーの見解であり、研究所全体での統一見解ではありません。また、目的やレベル、個人差により、必ずしもあなたにあてはまるとは限りません。参考までにしてください。 カテゴリーから入ってみると便利です。 【rf :他に詳しく答えているのがあるので、それを参考にしてくださいという表記です。】 引き続き、ご質問もお待ちしています。できるだけ順次とりあげていきます。

Q3936.高音発声へのアプローチ法について(中低音があるレベルまでできているとして)(2)

A.高音発声は、男性歌手と女性歌手によって多少異なります。男性歌手の場合は、アクートというテクニックを身につける必要があります。ミックスヴォイスでは、声門閉鎖筋が不充分にしか働かず、何年も何十年も歌い続けることにとてもリスクが伴うからです。中間音から高音にさしかかる音域をパッサッジョといいますが、このパッサッジョでの声のコントロールが高音発声を可能にするか否かの分かれ道となります。ベルカント唱法では、「パッサッジョをキューゾする」といいますがパッサッジョで音を開くような感覚になったら高音はどんどん喉に詰まっていき、苦しそうな声になってしまいます。音が閉じられるような感覚、または我慢するような感覚を喉の下、鎖骨のあたりで感じ続けることが大事になってきます。また、声の方向、角度を前から上のほうへ傾けることによって声帯の無駄な緊張感を緩和させる必要が同時に不可欠となります。このテクニックと、中音よりもさらに横隔膜での支える力をより強くすると、鋭角のある高音を出すことが可能となります。このテクニックを見につけるのに、ルチアーノ・パヴァロッティは7年の年月を要したと、自身の自伝でつづっています。(♭∀