発声と音声表現のQ&Aブログ

ヴォイストレーニング専門の研究所内外の質問と、トレーナーと専門家のQ&Aブログです。 あくまで回答したトレーナーの見解であり、研究所全体での統一見解ではありません。また、目的やレベル、個人差により、必ずしもあなたにあてはまるとは限りません。参考までにしてください。 カテゴリーから入ってみると便利です。 【rf :他に詳しく答えているのがあるので、それを参考にしてくださいという表記です。】 引き続き、ご質問もお待ちしています。できるだけ順次とりあげていきます。

Q4619. 母音によって発声が違ってしまう(たとえば「イ」「ウ」はフラット気味で響かないとか、です)が、どうしたらよいでしょうか。(5)~(8)

A.一番響く母音から音を切らずに別の母音へ移行するという練習をしてみましょう。 狭い母音のイやウがフラットしてしまうのは、喉に余分な力が入っている可能性があります。例えばア→エ→イと母音を移行させる練習をしてみてはいかがでしょうか。それぞれの母音をはっきりと歌うのではなく、切れないように滑らかに移行させる事が大切です。(♯Λ)

A. いろいろ手段はあると思いますが、開く母音「ア」「オ」「エ」と一緒に練習するのも母音の響きをそろえるひとつの方法です。響きがのる母音に近づけていくということです。例えば開く母音に「イ」をはさんで「アエイオア」という並びで発声します。発音により意識を向けたいので音はシンプルに、同じ音もしくは簡単な音型で行ないます。「ウ」に対しては「アエアオウ」や「アオウエア」がおすすめです。最終的に「イ」「ウ」どちらも含めたものとして「アエイオウ」を使ってみましょう。
身体や声帯が違う以上、響きの捉え方や体感はその人にしか分からないものなので、まずは感覚的に探ってみることが大切だと思っています。
ですので、まずはどの並び方でも、全ての母音を同じ響きで歌えるところを模索しながら探してみましょう。うまく見つからない場合には、前歯で小指を加えて(上の歯が浮かないように。)発声すると、声の響きがそろいやすいです。(♯α)

A. 声、言葉をどこで出そうとしていますか?必要以上に口を動かして出そうとしているのではないでしょうか?確かに人によってそれぞれ出し難い母音というのはあるのですが、母音がそれぞれ違ってしまうことの原因のひとつとして口先で音を処理しようとしていると考えられます。この場合、口先をパクパク動かすので、響きを作るための口の中の空間の大きさが保たれず、特定の母音のときに異なる響きになってしまうのです。
鏡をみてチェックしてみてください。顎がガクガクと動いてはいませんか?もし動いていたら、一度顎をあまり動かさないようにして、でも口の中は柔らかくあくびをするような感じで、言葉をできる限りあいまいにして声を出してみてください。
また、顎に力が入ったり、身体に力が入ったりしていませんか?力みがあると、音程が下がりフラット気味になってしまいます。床に寝転がって全身をリラックスさせ、子音を抜いて母音だけでゆっくり発声をしてみてください。
例えば「ありがとう」だったら「あいあおう」という感じに。得意な母音があるようだったら、苦手な母音と何が違っているのか身体の状態を調べてみてください。違いを理解し、得意な母音に近づけましょう。母音がある程度均一に発音できるようになったら、子音を入れて再度練習します。(♯Ж)

A. 2つ理由が考えられます。まずは、舌、特に舌根の形状が母音によって著しく変化していることです。つまり舌の筋肉に余計な緊張がはしり、息の流れにさまたげを与えていると思われます。
基本的に、5音(あいうえお)の変化の時、舌の緊張は「あ」母音を基調にあまり変わらないようにして、かつ大事なことは舌の筋肉の緊張も最小限度に抑えるようにするといいでしょう。
実際に、人差し指の腹全体を舌にあてて発声するとよく分かります。母音の変化によって舌根が著しく上がったり下がったりすると思います。その上下の動きと、特に舌根(奥の方)の筋肉の緊張
を最小限にとどめてください。そうすると、口の奥の空間の広がりを感じると思います。その感覚を大事に通常発声を心がけてください。
2つめの理由としまして、軟口蓋が上がってないと思われます。特に「イ」「ウ」は、他の母音に比べ口が閉じられているので、その分口の奥の上部(軟口蓋)を引き上げ共鳴させる空間を広げなければなりません。方法は、単純に頬骨あたりを上げてニコッっと笑いながら発声すると、軟口蓋は引き上げられます。
以上、舌根の筋肉のムラのない弛緩、そして軟口蓋の引き上げが母音共鳴変化を均等にさせるコツと私は考えます。(♭Д)