A.日本では歌唱をハイレベルに上に通すよりも、早めに聴衆にわかりやすく、受けやすい方へそらして、応用した方がうまくいくのです。つまり、昔からそうであったように、どこかの国の誰かのようにやる、その売れ線に乗るのがよいとなっているのです。いまだに舶来品大好きな国民性がこれを支えています。
そういうプロデュース能力で、日本では他の国のものが、薄められて演じられてきました。遠い国のものが身近に見られ、そのため、多くのファンがいる日本だからこそ、そういうものが成り立つのです。クラシックはもとより、ヒップホップ、ボサノヴァ、サンバ、フラメンコ、レゲエ、パンク、ロック、ハワイアン、ラテン、タンゴ、シャンソン、カンツォーネなど、日本ほど、世界で流行したものが取り込まれ、残っている国はないでしょう。自国のものよりも、世界の流行に若者が注目するのは、どこの国でもよくありますが、なかなか長くは続かないものです。ところが、日本では大切に保存されているのですね。まるで昭和の初めの洋食店が、いまだにあるような感じですね。(♭)