発声と音声表現のQ&Aブログ

ヴォイストレーニング専門の研究所内外の質問と、トレーナーと専門家のQ&Aブログです。 あくまで回答したトレーナーの見解であり、研究所全体での統一見解ではありません。また、目的やレベル、個人差により、必ずしもあなたにあてはまるとは限りません。参考までにしてください。 カテゴリーから入ってみると便利です。 【rf :他に詳しく答えているのがあるので、それを参考にしてくださいという表記です。】 引き続き、ご質問もお待ちしています。できるだけ順次とりあげていきます。

Q.メリハリとは何ですか。☆

A.歌唱力の差が顕著に表れるのが、歌の流れの中でのメリハリです。これは単に、言葉に強弱を付けるだけではありません。「一気に流れるように歌う部分」と、「11つの言葉を丁寧に感情のニュアンスを込めて歌う部分」の両方が必要なのです。前者はお客さんの気持ちの流れに沿う「期待」、後者はその流れから少し外れた「裏切り」と言い換えてもいいでしょう。大きな流れの中に「期待」と「裏切り」を両立させるわけです。

 お客さんの期待通りに、淡々と流れていく一本調子の歌は、すぐに飽きてしまいます。新しいことをやってくれるという期待感がなくなってしまうからです。お客さんが歌い出しだけで、ほぼその人の歌い方を判断してしまい、他の曲もずっと同じように歌うんだな、と思うと飽きてしまうのです。

 そうならないために、メリハリを付けるのですが、全体の流れの中で、「フレージング」(言葉ではなく音の区切り)を大きくとらえてみることからです。大きくフレージングでの展開や構成をとらえていないと、言葉を切ったときに、気持ちも持続できなくなります。常に次の流れを作ることを強いられ、いつも単純に同じ調子になってしまうのです。ボールがバウンドするように、大きなメリハリを付けて、その流れに乗せて言葉を置いていく方が、歌いやすいですし、それが歌に魅力を加えやすくするわけです。(♭)