A.そのふしぜんさは、映画の吹き替えやアニメの声優、子役相手の番組の声などにはあたりまえのようにみられます。アナウンサーもレポーターも、あまりしぜんには思えません。そう考えると、部下の上司へのおべっか声も、主婦の電話の話し声や、先生と話すときの声まで、嘘くさく聞こえてきます。
それは、日本人にとっての音声風土とみることもできるかもしれません。少なくとも、日本人の声の使い方は話し方として大衆に向かうものではなかったからです。それどころか、はっきり明瞭に強い音声表現を使わないのが、マナーとされてきたようなものです。私は、日本は音声表現を嫌う国なので、役者の養成所にでも行かなければ、欧米人の一般レベルの音声言語表現さえつかないと言ってきました。日本人に欠けているもの、それは呼吸法や共鳴法の前に、音声言語表現力です。これに聞く力も大きく関わっています。両方とも鍛えなくてはなりません。(♭)