A.直接の目的は、パワフルで耐久力のある声をつくることです。真の目的は、すぐれたアートを生むために必要なハイレベルの、繊細でていねいな、声を完璧に扱える技術を身につけることです。そうでなければ、腹式呼吸も、発声トレーニングも不要になります。詩と曲を作れば、誰でもすぐに歌える時代ですから。
その人の日常の呼吸、声が表現に使えるレベルにならなくてはなりません。カメラやマイク、音響技術の発達において、顔や声の力の不足が補われるようになったというのは、一対多に向けて大きなパワーを必要としていた個人の力が、いろんな技術を使うことで、一対一のレベルでも、伝わるようになってきたということです。
私はトレーニングでは、パワーアップを計ることを目指しています。1オクターブ半で、3分間(正味1オクターブ1分間)の歌をもたせる最低条件だからです。もう一つは、オリジナル性に裏打ちされた芸術性の獲得のためです。(このために、確実な再現のための耐性が必要です)(♭)