A.「ファルセット」、「裏声」、「仮声」と定義があいまいで、人によって説明も違っているようです。ここでは『うたうこと 発声器官の肉体的特質』(フレデリック・フースラー/イヴォンヌ・マーリング著)を参考にします。「仮声」は声区のなかで呼ばれる名称で、音質の声のことを指します。その音質は更にふたつに分けられます。つまり、「ファルセット」と「裏声」です。以下、特徴をまとめます。
「ファルセット」・・・うその、誤りの、という意味。きわめて細かい音質で、張りがなく、声の通りが悪く、音量の変化性にも乏しい。ジラーレや中音域の充実した声に移行できない。虚脱した声と呼ぶ。(例:ひっくり返った声、ものまねで高音の声を出すときに用いられる声)
「裏声」・・・ファルセットとは逆に、本質的にもっと張りがあり、より強く、より通る音質の声。また、ある程度音量に変化をさせることができる。また、この声は充実した声に持っていくことができる。虚脱した声に対し、支えのある声と呼ぶ。(例:もののけ姫の米良さんの声) (♭Π)