A.声の世界に関わらず昨今の世の中は「個性」を重要視する風潮があります。しかし個性ということばほど曖昧かつ疑わしいことばはないと私は思っています。テレビから流れてくる歌よりもNHKのど自慢で素人が歌っている歌のほうがうまいと感じたり、ダンスが得意と言っているアイドルよりも駅前で踊っている若者達の方がうまいと感じるのは私だけではないと思います。
レッスンをしていると、中にはバンドのヴォーカルをやっているという方がピアノの音に合わせて声を出せないといったことがしばしばあります。実際歌を聴いてみると自分の歌でさえ音を外しそれを本人がわかっていないこともあります。これでプロを目指すといわれてもまず「音痴」を直すことから始めなればいけません。
歌を歌うということは自分をさらけ出すと同じことです。鍛錬されていない自分をさらけ出すと同じことです。可愛さだけで売ってきたアイドルが毎年入れ替わってはテレビで見なくなっている現状がある一方毎年コンスタントに仕事をし続けベテランになっても仕事を続いけていける方達もいます。
個性が容姿ではなく、個性=実力になっていく日がくることを願ってやみません。(♭Σ)