A.マスケラのポジションは、狙ってもそこへいかないものです。声でまず大切なのは、(これはフースラー著の歌うことに記述してあることですが)、懸垂機構です。よい喉の位置、高すぎず低すぎず、前過ぎず後ろ過ぎないを、甲状軟骨を上下に引っ張る筋肉を使うことによって定位置につねに定めることが大切です。よい声は、意識しているにしろ無意識にしろ、このようなことが首、喉で行なわれています。しかし、このことを理論で知っていたとしても、なかなかうまく操れないと思います。喉の周辺の筋肉群はとても複雑なため、また、胸鎖乳突筋などに代表されるように、鎖骨や胸とも複雑に関連しています。つまり、体全体のフォームによって、遠隔的に声帯懸垂機構を操れないといけません。喉だけを考えずに、腹筋背筋が必要になります。