A.発声と表現は、別のものとして考えるべきではないと思います。つねに隣り合わせだと思ってください。オペラ歌手は、よほど天然声の歌手でない限り、オペラの最初から最後まで発声法のことを考えながら歌っています。本番でもそうです。だからといって表現ができないわけでなく、本当に良い発声の延長線上には表現があるのです。例えば響きのポジションが落ちないようにと考える時、ポジションに入れることばかり考えて呼吸の流れが停滞したら表現はできなくなってしまうし結果ポジションも良い場所で歌えません。大きく体を使ってあふれ出るような発声法を意識することが、魅力的な表現に繋がってくるものです。発声法を意識すると表現ができなくなってしまうと感じている人は、おそらくその発声法自体になにか足りないものがあると思ったほうがいいです。テクニックで歌う歌手は、計算された上で人に感動を与えるものです。(♭∀)