A.声帯でできた音は、声道を通すことで、「ア」とか「イ」などの響きがつきます。母音は、口の中の形を変え、共鳴の特性を変えて生じさせます。
この共鳴周波数をフォルマント周波数と呼びます。低い周波数から順に第一、第二、第三…フォルマントと名付けています。どの母音であるかは、第一および第二フォルマントの周波数の組み合わせで決まります。
元の音が声道の2箇所(口内とのど(首のあたり))で共鳴して特定の周波数成分が強調されるのです。この声帯でつくられた原音は、その人独自(固有)の基本的周波数となります。その人の声を見分ける特徴となります。
声帯でつくられた基本周波数は、声道で変化して、「ア」では、約6、9、20倍の周波数式にフォルマント(共振帯)、「イ」では、2、17、27倍のフォルマントとなります。このフォルマントの組み合わせが、どの発音かという特徴となります。
ささやく声でも区別して出せるので、母音の発音は声帯(振動)でなく、口の中の形で決まっているということがわかります。子音の無声音であっても、呼気圧(吐く息の強さ)と調音体で決まります。
鼻音化しない母音では、軟口蓋が上がり鼻咽腔にはいかないので、咽頭腔と口腔の形で、母音の音韻を決める要素(フォルマント)が決まっています。人の舌根は大きくて口腔だけでなく、咽頭腔の形も変えられます。アオは口腔広く、咽頭腔小さく、イエはその逆です。下の3分の1は直角に折れ、喉頭腔に面しているのです。
(♭ф)