A.表現を豊かにするには、音色を変える練習、色々な声を出す練習をするのがよいでしょう。たとえば、大きな声・小さな声、強い声・弱い声、張った声・抜いた声、息を混ぜない声・息を混ぜた声、、、などです。実際に試してみるとよくわかるのですが、簡単そうでなかなか難しいということに気がつくでしょう。
特に、声が一つの音色で変化がないと言われてしまう段階にいる人は、発声に対するイメージが、一つのポイントに固執していて、それを外してしまうと、よい発声・基本的な発声ではなくなってしまうと思い込んでいることも多々あります。また、発声自体も崩れてしまいがちになることもあって、このような基本的な声の変え方でさえ、難しくなっているものです。(発声や声の美しさを重視するクラシックの声楽では、特にこの問題は起きやすくなります。)
この問題を根本的に解決するには、今取り組んでいる発声法を充分に習熟することが、王道であり正道になります。しかし、クラシック以外なら、声の美しさや発声法にこだわり過ぎずに、自由に声を出すことにポイントをシフトしていけば、いろいろな声を出す練習が、それほど苦労せずにできるようになるでしょう。そうなれば、歌の内容に合わせた声を出していくことも、それほど難しい問題ではなくなり、豊かな表現を手に入れることができると思います。
(♭Ξ)
A.まずは自然な声を出すことを考えましょう。ただ喉を鳴らしているだけの声は自然な声ではありません。人が聞いて自然な声はよく吐かれた息の上に乗った声です。
極端な言い方ですが、自然な声になるまでは表現のことなどは考えなくてもよいと思います。声の実力がない中での表現は独りよがりですし、表現を「してるつもり」の場合が多いものです。他の人に自分の考え、想い、表現が伝わるというのは技術がいります。伝えるだけの技術がついていないのに気持ちだけを押し付けるのは自己満足になりかねません。
自然な声が身についてくると自然に表現は声に乗って客席に飛んでいきます。自然な声を身につけると様々な表現が可能ですし、それが伝わりやすくなります。
多種多様な表現を身につけるためにも自然な声を身につけれるよう努力してみてください。(♭Σ)
A.ブレスをするときに、次のフレーズのことを考えてすると、フレーズごとに、音色を変えることができます。楽譜に、表情記号が書いてあるのを参考にしてください。それに忠実に歌うことが大事です。
言葉の意味だけを考えて歌うのではなく、歌詞の内容をイメージして歌うことが大事です。クラシック以外の場合でも、強弱を考えたりして歌うと変化が出てきます。アーティストの真似をして歌うのもいいです。
表現は、発声とも深く関わっていて、横隔膜を使えているかいないかでは、かなり表面に出てくるものが変わってきます。横隔膜を使うということは、腹式呼吸をするということです。腹式呼吸の強化で、表現もかなり変わってきます。
本や映画、想像力を養うものを、積極的に読んだり観たりすることで、歌も変わってきます。発声の土台を、固めるとともに、詩の内容をイメージできる力、両方を養うよう心がけると、表現が変わってきます。いろんな人と関わり、いろんな話をすることでも、歌に大きな影響を与えます。いろんなところにアンテナをはっておくとよいかもしれません。深いブレスを意識して歌いましょう。(♯Ω)
A.全曲同じ音色で歌うことも、非常に高度で難しい課題です。そのように歌えることは、まず素晴らしいことですね。でも、果たして本当に同じ音色なんでしょうか?!
歌を歌うことは、とても人間らしい行為です。もっと自然にご自分の感情を歌の中に入れてみてはいかがでしょう?
歌詞の意味を感じたり、メロディーで感じることがあれば、その通りに想像してみましょう。歌うことは、人に気持ちを伝える事そのものですから、歌うメロディや歌詞をより具体的に想像して声に出してみましょう。メジャーなメロディなら嬉しい、楽しい、明るい気持ち、マイナーなメロディなら悲しい、苦しい、寂しい気持ちなど感じることはたくさんありますよね。まずは、照れずに自分の気持ちをさらけ出してみましょう。変な声が出てもいいんです。音程が多少くるってもいいんです。勇気を出して歌ってみてください。
(♯Δ)
A.声を出すことだけでなく、歌い出す前のブレスに感情を乗せましょう。毎回同じようにブレスをしていませんか?呼吸と感情はとても密接です。
また、表現力の豊かな歌い手は、ピアニッシモの使い方がとても上手なように感じます。(♯Λ)
A.何を歌っても同じ音色に感じるとき、それは大きく分けると二つ理由が浮かびます。一つ目は声に響きが乗っていない、ということです。声に響きがないとどうしても芯のない声に聴こえますし、芯のない息の拡散した声は遠くまで届きにくいので歌い手はつい声を押してしまい、結局どれも同じような調子になりがちです。多くの場合、声に響きが乗らないときは発音が奥まっています。
トレーニングとして、歯を噛み合わせたままで歌ってみて(唇は動いてよい)、少し歯にビリビリ振動を感じながらできる限り発音がはっきり言える状態を探してみましょう。前歯に当てる感じで発音をすると、発音の位置が前に出やすいです。
二つ目の理由は、息の流れ(息使い)が一辺倒だということです。声の強弱やクレッシェンドなどを表現するときは、声そのものではなく息をコントロールするという意識が必要です。例えばPやmPなどはただ声が弱ければいいのではなく、本来はfやffを歌うときのようなエネルギーを持った息にPやmPの声を乗せるから聴き手を惹きつけるのです。クレッシェンドや曲の盛り上がりなども同様に、ただ声を押して強くするのではなく、息のスピードを増していくので聴き手が盛り上がりを感じるのです。具体的な呼吸の練習は省きますが、試しに一曲メロディーに合わせて(歌うときと同じブレスで)息だけを吐いてみると色々と学びがあるはずです。
(♯α)
A.まず「豊かな表現」とは何か、どういうことか、ということからも考えなければなりません。音色を多種多様に出せたら「豊かな表現」になるのでしょうか。中島みゆきさんや桑田桂祐さん、松任谷由実さんなど、個性的な声の人であればあるほど、同じ音色に聴こえることはないでしょうか。しかし、かといって、決して表現が不毛である、豊かではない、という印象はないのではないでしょうか。マリア・カラスはどうでしょう。あのシャウトしているかのような独特の声は表現が豊かではないと感じますか?その声を斬新と思う人もいれば、荒すぎるという印象をもつ人もいるかもしれません。一声聴いただけで誰かと分かる個性的な声の人は表現が不毛でしょうか?違うと思います。
では一方で、技術的なことから分かりやすく言えば多種多様な声を出せることが豊かな表現に繋がるでしょうか。そうなるとモノマネ等で色々な声を使い分ける技術があれば表現が豊かに聴こえるでしょうか。モノマネ芸人が一番表現力豊かな歌手、ということになります。はたしてそう思いますか?
歌だけではなく、絵画でも芝居でもいわゆる表現活動においては、「表現を豊かにする」ということは常にテーマの中心に出てくることです。単純に「どういう人」が表現が自分にとって表現が豊かに聴こえるのか、という個人の好みにも強く起因しているかもしれません。「想像力がないのですがどうすればよいですか」「人生を豊かにするにはどうすればよいでしょうか」という質問と似ています。豊かな表現は豊かな人生を歩んできた人にしかできません、という答えもよく聞きますが、本当にそうでしょうか。「全曲同じように聴こえる」理由は個人個人で違うと思います。声そのものの質なのか、または声以外の他の要素、言葉では表現しきれない漂う空気のようなものなのか、その一言にこめられた凝縮感なのか。それを追求し続けていくこと自体が、表現活動の日常的なでき事ことであり、かつ必要なことであるような気がします。(♯Γ)
A.その曲について、自分なりに掘り下げてみることです。例えばオペラのアリアだとしたら、作曲家について、その時代について、その役どころについて、などなど調べることはたくさんあります。また歌詞の意味もよく読んで理解しましょう。そうすると、きっと何かを感じるでしょう。その感じたそのままを表現するのです。動画サイトなどでほかの人の演奏を聴くこともできますから、参考までに聴いてみるのもよいと思います。
また、楽譜に書いてあることも見落とさずにしっかり読み取りましょう。強弱や演奏方法(次第にゆっくり、とか、次第に大きく、など)の指示があるものがありますね。それらを守って演奏することも、表現の幅をひろげる一つの方法です。
あとは、自分自身の見聞を広めることでしょうか?いろいろなものや事柄に接し、心を育てることです。感情が豊かになれば、それが身体から染み出てくるようになるでしょう。(♯Å)
A.普段話をしている時、同じ音色で話してはいないと思います。怒っている時、笑っている時、嬉しい時、悲しい時、楽しい時、辛い時、元気な時、疲れている時、目上の人に話すとき、子どもに話す時、殆どの人は違っています。そして1つの感情の中でも同じベクトルではなく、小さかったり大きかったりします。
例えばプレゼントをもらった時、キャンディー1個もらうのと、ケーキをもらうのと、前から欲しかった洋服をもらう時に言う「ありがとう」の言い方は違いますよね。
その違いを歌に使えばよいのです。歌は特別なものではなく、言葉にメロディーやリズムがついたもの。それが分かれば表現が変わるはずです。(♯μ)
A.方法としては表現の仕方を変えること、そして表現に幅ができるように自分の声のベースアップをはかることが必要と思います。表現の仕方は簡単に言ってしまえば強弱、高低、声と息、言葉のスピードの変化によるものですが、それらを使い分けるには実際にレッスンを受ける他にも、CDやライブなどで自分で感覚を身につける方法があると思います。また自分の声のベースアップにはトレーニングあるのみですが、どちらにしろ様々な表現に耐えうる、そして可能にする技術を身につけなければならないと思います。まずはロングトーンを使って長く気持ちよく声がのばせるようにしていくことをおすすめします。(♭Ч)
A.まずは、よい発声で歌えることが何よりも大切です。
なぜならば、よい発声で歌えていない、つまり、声に余裕が無い状態では表現に気がまわりません。まわったとしても、表現と声のバランスを保つことは、非常に難しく、どちらか一方に偏ってしまうと思います。
発声を整えることで声を出すことに余裕が生まれ、表現の改善に繋がっていくと思います。基礎的なことかもしれませんが、レッスンで教わったことをしっかり復習し体得する。こうして基礎力を高めていきましょう。
それがある程度落ち着いてきたら、いろいろな人の演奏を聴きくらべ、徹底的に研究しましょう。できれば生の演奏を肌で感じたほうがよいと思います。一人ではなく、何十人と聞きくらべていくうちに、いろいろな人の音楽の持っていき方のデーターが蓄積されていくと思います。そのデーターを参考にしながら、自分だったらどうやって音楽を持っていきたいか、進めたいか、研究しましょう。そして、いろいろ試して録音し、また、ほかの人の演奏と聴きくらべてみましょう。
その時に、注意していただきたいのが、自分のよい発声と全く異なる人の演奏は取り入れないようにするということです。なので、レッスンで見てもらい、客観的な判断を仰ぐことも重要です。
表現については、「ないものから作っていく」作業になると思うので、色々悩んで研究し、生み出して、自分の感情を結び付けていけると理想的ですね。(♭Я)