発声と音声表現のQ&Aブログ

ヴォイストレーニング専門の研究所内外の質問と、トレーナーと専門家のQ&Aブログです。 あくまで回答したトレーナーの見解であり、研究所全体での統一見解ではありません。また、目的やレベル、個人差により、必ずしもあなたにあてはまるとは限りません。参考までにしてください。 カテゴリーから入ってみると便利です。 【rf :他に詳しく答えているのがあるので、それを参考にしてくださいという表記です。】 引き続き、ご質問もお待ちしています。できるだけ順次とりあげていきます。

Q.ヴォイストレーニングでは、1,2回で声がよくなりましたが。

Q.ヴォイストレーニングでは、12回で声がよくなりましたが。

A.レッスンは、最初、緊張します。声を出すということを改めて意識すると、緊張してしまうのは当然です。トレーナーはリラックスさせ、フィジカル面で体をほぐすでしょう。そこで、あなた自身がもともと持っていた声をうまく出せるようになるのです。これは、マイナスがゼロになるのです。このゼロがこれまでになく、最良の状態であり、最良の声だったとき、私はこれを「ベターの声」と述べています。つまり、今の多くのヴォイストレーニングは、リラックスさえすれば、誰でもよい声が出る、それを使えば何にでも通じるという考えで行なわれているのです。

 

Q.メンタルやフィジカル面も含め、トレーナーからアドバイスしてもらうのは、よいことですか。

A.そこまでのことを一人でできる人は少ないので、とても効率のよいことです。ただし、リラックスさえすれば、声が出るようになるというのは、私には、病気で声を失った人が行なう、リハビリテーションのようにも思うのです。それでも充分な人はたくさんいるでしょうが、本当に厳しい舞台やビジネスでは通用しません。状況や状態といった内外の環境に左右されてしまう声だからです。疲労や風邪で本番に支障をきたす程度の声なのです。

Q.声のワークショップなどでは、何をするのですか。

 A.リラックス状態をベースに、もともと持っている声をうまく引き出していきます。童心に戻り、はずかしいとか、はしたないなどという心の壁をとりのぞくことで、声はよく出るようになります。

 Q.ワークショップの限界は何でしょうか。

 A.よほどの判断能力(声の識別)と身体性(声のコントロール力)を持たなくては、その場限りの体験で終わります。総じてそこを一歩出てしまうと、そういう声は、また取り出せなくなります。一人でできないのですから、全く身についていないのです。それを、今、持っている感覚、息、体の限界だと知ることが大切です。(100の力を常に出すには、120の器がいるのです)

 Q.ワークショップやカルチャーセンターでプロになれますか。

 A.365日、舞台を行なったり、1日2公演やったりするプロは、リラックスしたときに、たまたま出ただけの声では通用しようもありません。でも、日本ではそうした人でさえ、自分の声のことをあまりに知らないので、リラックスやリハビリをするだけでも、状態がよくなって身についた(あるいは、やり方がわかった)と思うのです。多くの場合は、それは声を回復させただけです。ですから、何年か経つと、そこから上のレベルではうまくできなくなります。最悪のコンディションのときでも、全く崩れを見せないで声を扱えることこそが、トレーニングで求める条件なのです。

 Q.ヴォイトレにはどういう能力がいるのですか。

 A.どんな状況をも自ら切り替える+αの力が、必要です。ワークショップは、そのことをプロの指導者であるトレーナーがやっているので、その場でよくできたと思っても、踊らされているのにすぎません。トレーナーが優秀であればあるほど、終了後に、一人で同じことを行なうこと、その先につなげるのは難しくなります。

 Q.ワークショップは無意味ですか。

A.よい声を知る一つのきっかけとして、体験は無意味ではありません。多くのワークショップでは、伝わる声として、ベースの声よりも、大きい声や明るくはっきりした声、やわらかく心地よい声に、重点が置かれているようです。一日で成果をみせるためですが、これは、本当にその人に合ったベースの声とは限らないのです。

 

Q.役者や声優、アナウンサーのためのトレーニングでは、声がよくなりますか。

 A.発声でなく、むしろ発音、ことばの読み方が、よしあしの基準となっています。素人はその方が正しい声と思いやすいからです。ヴォイストレーニングなら、声そのものの持つ力に注視することを忘れてはなりません。

Q.レッスンとトレーニングでは、どう違いますか。

A.目的が異なります。今持っている最高の声の質の1~2割しか出せていない時点でも、それをその2~3倍の質に高めるためにどうすればよいかを気づかせることがレッスンだと思うからです。

 ですから、これまで出た声で最高のものがあったら、それ以上の声が出たときだけ、レッスンが成り立ったと思えばよいのです。それ以上の声、あるいは、それ以上の感覚で出た声といってもよいでしょう。今まで出したことのない声ということです。(すぐれたトレーナーは、その人にとっての理想の声をイメージして、それに近づくために、現時点での最上の声を導こうとします。それが出るまではひたすら基礎トレーニングして待つのです。つまり、その声は出せるときや出せそうなときだけ、挑めばよいのであり、いつもはローペースに確実にこなせるメニューだけ繰り返していればよいのです(不調や疲れているときにはできません)

Q.レッスンに行ったら上達するのは当たり前ではないでしょうか。

A.そう思いがちです。でも、私の見る限り、初心者がレッスンで自分の最高の声を出せることなど、ありません。かなりの経験と安定した力がないと、その人の持つ力の半分も出ないものです。それは、第一に、毎回、自分を最高の状態に、きちんとセッティングすることなどできないからなのです。第二に、技術や準備不足です。これは時間をかけるしかありません。(♭)