発声と音声表現のQ&Aブログ

ヴォイストレーニング専門の研究所内外の質問と、トレーナーと専門家のQ&Aブログです。 あくまで回答したトレーナーの見解であり、研究所全体での統一見解ではありません。また、目的やレベル、個人差により、必ずしもあなたにあてはまるとは限りません。参考までにしてください。 カテゴリーから入ってみると便利です。 【rf :他に詳しく答えているのがあるので、それを参考にしてくださいという表記です。】 引き続き、ご質問もお待ちしています。できるだけ順次とりあげていきます。

Q.インプロ(インプロビネーション)のトレーニングとは、何をやるのですか。

A.「10秒ほどのフレーズをCDで3回聞いて、すぐに繰り返す」

これはずっと、私がグループで行なってきたレッスン方法です。日本語でも外国語でもかまいません。当時はCDでしたから、あたかもDJがディスクを操るように10秒ほど戻そうとすると、きちんと戻らず、該当箇所の前の方から始まります。すると、分からない言語の歌ほど、よく聞かねばならないことになります。他の音のバックの音も総動員して、どこが流れているのかをキャッチする力がついていきます。(感覚の相対性を利用して身につけるには、より難度の高いものから入るのがコツです。ドイツ語やフランス語を聞くと、英語が聞き取りやすくなるし、早いテンポで聞くと、ふつうのテンポに戻ったとき、ゆっくりと聞こえるようになります)

 こうして、音だけの世界に集中せざるをえない状態にするのです。しかも、一人ずつそれを次々にコピーするのですから、けっこうな緊張感となり、本番慣れにもなります。

 一番心がけたいのは、そのとき自分の中で起こったことを、その曲の流れに一致させられるか、ということです。ジャズなどの即興能力を問うのに似ています。多くの定型パターンが入っていないと、最良のフレーズを瞬時に選び、組み立てて取り出すことなどは不可能ですから、少なくとも4、5年はさまざまなパターンを入れることで充分と思っています。(日本の歌い手のアドリブの即興性のなさと、お笑い芸人や世界のアーティストのそれとを比べてみてください)(♭)