Ａ．即興をしているつもりで、予め入れておいたものが、その場でもっともよい形に変化してきたものを、楽しめるレベルに高めたいものです。レッスンの中でも、一曲の入り方の強さやタイミングが少しでも違ったら、その後もまったく違った展開になるべきなのです。そういういろいろな試みのなかから、その人のオリジナルの可能性を見出していくのです。そして音楽、曲の神様とあなた自身の声、感覚の神様が出会ったときに、本当によいものが生じるのです。
歌における“デッサン”のよしあしは、絵と違って客観視できません。本人にとって、もっともわかりにくい自分の声、そして声は時間とともに消えて残らない音であり、自分の体内に響き、客観的に聞けないものです。それゆえ、トレーナーが鏡の代わりをして、本人にその姿を突きつけてあげるのです。トレーナーには、豊かなイメージの想起力とそれを伝える語彙力が要りますね。（♭）
