A. まずは声を前に出す意識が必要かと思います。ボイトレの初歩の段階で、目も耳も頭の中も開けるように指導されることがあります。これは、口蓋や共鳴腔を広げるために必要なことです。たいていの初心者の人は、この意識が少ないため、潰れたような響きの少ない声を出してしまうために、この訓練をやります。
しかしここで起こり得ることは、頭蓋骨の奥をあけようとしたら、声も奥まってしまうことです。楽器として響く容積は大きく保ったほうがいいのですが、音の出ていく方向を意識しないと、声は前に飛ばずに、顔の中でこもってしまいます。
「サ・タ・ナ・マ・ラ」などの唇や舌先を使う子音で発声練習をして、声を自分の前に飛ばす訓練をしてみましょう。例えば「ザ」のZという子音なら、前歯と歯茎と舌で摩擦を起こすため、口の前方が意識しやすいですし、摩擦させるために息の量が必要になるので、声を前に出すのに役立ちます。「ダ」のDという子音なら、舌ではじかないといけないので、これも声を前に飛ばしやすい練習ができます。(♯β)