A.ステージで最も大切なことは、表現することです。ヴォイストレーニングは、その手段・素材となる「声」のトレーニングですが、これを全く重要視しない表現者も少なくありませんでした。ジャンルによっては、今でもあまり重要とは考えていなかったり、あるいは薄々重要とは思っていても、実際にはあまり取り組んでいない人も多いようです。ステージでの表現において、声のよし悪しが、それほど重要な要素ではないジャンルも少なくないからでしょうか。
クラシック音楽では、声のよし悪しが、表現の8割を占めるといっても過言ではないでしょう。「声は残念だったけど、がんばっていたね。」と慰められることはあっても、「声はイマイチだけど、とても感動的な歌だった。」と絶賛されることはありません。まず「声」が大切なのです。その「声」を手に入れるために、長い年月をかけてヴォイストレーニングに励み、また、その「声」を維持・上達させるために、日々のヴォイストレーニングに取り組むのが、通常の声楽家です。さもないと、せっかく長い年月を費やして造り上げてきた自分の「声」が、少しずつ崩れていくことを、何度も実感しているからです。よりよいステージのために、声楽以外のジャンルの皆さんには、ヴォイストレーニングは必須条件ではないと思う人もいるかもしれませんが、是非、その継続をお勧めします。(♭Ξ)
A.私の歌手としての経験上ですが、ステージでのパフォーマンスとトレーニングというのは違います。もしプロを目指すのであればステージがあってのトレーニングとなるでしょう。しかし、プロになる前に数年間はトレーニングに没頭できる時間がとれるとより望ましいです。
どんなにレッスンやトレーニングがよくても、ステージでその力が発揮されなければ、プロとしては難しいです。ステージングがうまくいくには、プロになる前の数年間でどれだけパフォーマンスをよりクオリティの高いものにできているかがカギだと思います。技術的な不安があっては、ステージでよりよいパフォーマンスは望めません。プロになってしまうと、技術向上のみの時間の確保は難しくなります。
ある一定以上の技術と下地があるから短時間で仕事を習得できます。技術がないと毎回が大変になります。少なくともある一定の音域の確保、一声でわかるアマチュアとの差、レパートリーの確保をトレーニング、レッスンでできていると少なくともステージで技術面であわてることはないでしょう。(♭Σ)
A.ポップス、ミュージカル、声楽他、どのジャンルにとっても、共通して求められることは「常によい状態でステージに立つ」ことです。食事や睡眠などの体調管理はもちろんのこと、ヴォイストレーニングもそのことを実現するために必要なことのひとつといえます。
ヴォイストレーニングのメニューは人それぞれあるかと思いますが、おおよそ決まったものを日々淡々と行います。その中で、身体の使い方や発声時の感覚がいつも通りであることを確認でき、その状態を変わらず維持することができていますか。
逆に、いつもと同じメニューなのに何か違和感を感じるとき(身体が力む、声に響きが乗らないなど、感覚は人それぞれ)、たとえ小さな変化だとしても早い段階で気づくと、それに対応することができます。ヴォイストレーニングという日々の積み重ねがよいステージに繋がるのです。(♯α)
A.ステージに立ったとき、よりよいパフォーマンスができるように訓練することのひとつがヴォイストレーニングであり、日々の練習であると思っています。大切なのは、ヴォイストレーニングは、「ステージでよいパフォーマンスをするためのひとつの手段である」ということです。
ヴォイストレーニングで行っていることだけがすべてではありません。ステージで最大限のパフォーマンスを発揮するためには、日々の積み重ねがとても重要になると思っています。ヴォイストレーニングでやり方を学び、日々の練習で体得し、ステージに立った時にどのようにそれが発揮できるかという部分ではないでしょうか。
この辺りは、学生時代の授業、予習復習、試験という部分に少し似ているかもしれません。レッスンが授業、予習復習が練習、試験がステージという感じでしょうか。誰でも最初の試験はこわいものだと思いますが、ひとつの区切りになりますし、それに向かっての努力ということがとても重要になります。そして、実際にステージに立ってみて初めて気づくこともあると思います。これは日々の練習やレッスンだけでは対処できない部分なので、ステージでの経験こそが重要になると思います。
オペラ歌手の間でも「劇場が歌い手を育てる」という言葉があるように、ステージでいろいろなパフォーマンスを繰り返し、ステージで生きてこそ、磨かれていくものがあるのだと思います。人前で披露するために一所懸命課題に取り組む。それを繰り返していくので、数多くステージに立っている人の進歩は、ほかの人よりも進むことは確実です。(♭Я)
A.ステージ上でいいパフォーマンスをするには、訓練が欠かせないと思います。よく、本番では練習の70パーセントしか発揮できないといいます。常日頃積み上げたものの7割しか発揮できないのには、皆さんも思い当たる理由があると思います。
緊張であったり、普段と違う環境で声の響き方が違う、マイクの具合、その時のお客さんの様子、いろいろな要素で、普段のパフォーマンスを阻まれることが想像されると思います。
あるスポーツトレーナが言うには(よくゴルフの雑誌などに載っていますし、ほかのジャンルのスポーツトレーナーも言及しています)筋肉は10000回やらないと新しい動きを覚えないといいます。一日10回やるとして1000日、すなわち3年かかってやっと体が覚えるというのです。
どのような状況でも、同じクオリティでパフォーマンスするためには、このような年月が必要になります。そのために、日々自分の体に、いろいろな場所の筋肉に覚えさせるために、ヴォイストレーニングが必要になっていきます。声を出すには声帯のみならず、口の開け方、首や肩の脱力、横隔膜の柔軟性、おなかの支え、それを支える足の支え、トータルバランスの体を鍛えていかないといけません。
声を出すことのみならず、体全体を楽器としてとらえていくことをお勧めします。(♯β)
A.ステージに立つということは、自分の身体・声を通して観客になにかしらのメッセージを送ることだと思います。ステージに立って歌う、語るときにはヴォイストレーニングのことはすっかり忘れて「伝えるべきこと」に集中しなければいけません。ステージは、きれいな声、完璧な声をただ披露する場ではなく表現する場です。
ヴォイストレーニングはその表現のための引き出しを作る場と考えています。
ステージに立つときに自分の「できないこと」に気を取られている暇はありません。ヴォイストレーニングではひたすらできないことに挑戦してほしいと思っています。(♯ё)
A.「練習は嘘をつかない」という言葉があります。普段正しいヴォイストレーニングを積み重ねていると、そのことが自信となり、ステージに立ってもほぼ平常心でパフォーマンスが発揮できます。
正しいヴォイストレーニングとは、体(横隔膜、腹筋、背筋、下半身)を使って支えができていること、筋肉をゆっくり使い、その力で効率よく息を流せることが考えられます。このトレーニングができていますと、どんなステージ(響きの良し悪し、観客の多い少いなど)でも心身ブレずに声を発することが可能です。
ステージの本番中にトレーニングの発声を考えますと、曲の内容を伝えにくくなる傾向もあります。そうならないためにも普段のトレーニングをしっかり積んで、本番では意識しなくても勝手にできる状態にすることが望ましいです。
最後に本番のステージでは、客観的に自分の声を聴く(見る)ことができる「もう一人の自分」の存在が必要です。(♭й)
A.もしあなたが、毎日ステージをこなさなければならないとすると、体は、のどは、テンションはもちますか、トレーニングは、まずこの基礎体力作りという面があります。
8割の力でステージをこなしてもお客さまが満足するためには、10割でトレーニングしていなければならないのです。ステージ以上のテンションでトレーニングしておくのです。
素人は考え方が逆です。ステージでは盛り上がるのに、普段のトレーニングではそのテンションを出せないのです。それでは急に来るかもしれないチャンスを生かせないのです。(♭∴)
A.少しばかりヴォイストレーニングをやったところで、ステージが劇的に変わったりはしない、ということです。研究所に来るときだけやっても、あまり変わりません。10分だけでもいいので、毎日自分でやってください。トレーナーは練習の仕方をお教えすることはできますが、あなたの代わりに練習はできないです。
毎日やっても、ステージでのパフォーマンスに効くと実感できるには、早くて2年、遅くて10年はかかると思います。
イタリアの作曲家・ポルポラは高名な声楽教師でしたが、彼はある弟子に毎日毎日、たった1ページの面白くもない練習曲だけをやらせました。6年後、彼は「もう何も教えることはない。行け、お前は世界一の歌手だ」といって弟子をデビューさせました。弟子はヨーロッパ中を席捲するカファレッリという名歌手になりました。
これは極端な話だと思いますが、基礎が実を結ぶまでにどんな忍耐が必要なのか、また、それさえ手に入れたらどんな強力な武器になるかがよくわかる話です。
基礎のヴォイストレーニングと並行して、ステージに出す曲は何度も何度も練習しましょう。ステージ上で最も拠り所となるのは、「自分はこれだけ練習した。だから大丈夫」という自信です。(♯∂)
A.ヴォイストレーニングとは、歌うために必要な横隔膜などの筋肉を鍛えること、自分の体の一番響くポジションを見つけることのほかに、気候による温度や湿度、体調の変化などにも対応して、筋肉を働かし、響くポジションで歌うためのトレーニングです。
自身の筋肉を最大限に活かし、最も響くポジションでステージから歌った時に初めて客席のお客さんの耳や体に自分の声が届きます。
ステージで歌うためにはヴォイストレーニングは欠かせないものと言えるでしょう。(♭К)