日本人は、学校教育の中で発音の授業を受けるとか、発声に関する授業を受けるという機会が圧倒的に少ないと思います。自分の母国語ながら、どうやって発音しているのか、そのメカニックを知っている人はとても少ないです。
ラ行は、IPA国際発音記号で書くと[l]でも [r]でもありません。 [j]の頭の・を取ってひっくり返したような記号が日本語のラ行の発音記号で、はじき音と呼ばれます。どう発音するかというと、上の歯の前歯と歯茎の境目あたりで舌をはじくようにくっつけます。「ほらっ!」と発音したときにできる、はじくような音です。しかし、ラ行を[l]でとらえている人や、外国人はこの弾くような音声は出せませんし、 [r]で発音すれば、イタリア語のような巻き舌になってしまいます。「フランス」「札幌」「いろどり」などと発音してみてください。舌先が、上の歯の裏でくるんと当たりはじかれているような感覚が得られると思います。
ただし、どきどき例外といますか、状況による変化といいますか、[l]でラ行を発音するケースもあります。「ラジオ」「レモン」「ラーメン」など、これらは、はじき音でも言えないこともないですが、[l]の音でも発音できてしまいます。読むスピードにより、舌の歯茎への当て方で[l]で発音されてしまうこともあるのでしょう。私たち日本人は何気なくできているラ行でも、分析してみると大変難しいことをやっていることがわかります。([E:#x266F]β)