発声と音声表現のQ&Aブログ

ヴォイストレーニング専門の研究所内外の質問と、トレーナーと専門家のQ&Aブログです。 あくまで回答したトレーナーの見解であり、研究所全体での統一見解ではありません。また、目的やレベル、個人差により、必ずしもあなたにあてはまるとは限りません。参考までにしてください。 カテゴリーから入ってみると便利です。 【rf :他に詳しく答えているのがあるので、それを参考にしてくださいという表記です。】 引き続き、ご質問もお待ちしています。できるだけ順次とりあげていきます。

Q. コンコーネ50の4番の歌い方について教えてください。

.  13番に比べると、少し長めのフレーズになっています。支えがうまくできないと、歌い難いかもしれません。最初の4小節は、スラーが付いているので、レガートで歌い、最後は4分音符なので、伸ばし過ぎないように気をつけましょう。次の4小節は、2小節ごとのスラーになっているので、最初のように4小節のレガートにはせず、ブレスはしませんが、少し区切る感覚にして、低音が得意の人は、チェンジをしてしっかり深い声にしてみましょう。続く4小節は、スラーに従ってレガートで歌い、最後の臨時記号は、はっきりと音の違いを目立たせ、ブレスはせずに13小節目の第五音に入ります。ここまで付点二分音符でゆったりと流れていたフレーズが、少し動き出します。支えをがんばり過ぎていると、流れに乗れなくなるので、気をつけましょう。

14小節目、頭の高い第七音は、高音の得意な人は、美しい響きで歌うように、試行錯誤してみましょう。低音の得意な人は、無理をせず、支えをしっかり使って、柔らかめに歌いましょう。17小節目からのスキップのリズムの部分は、音程がいい加減にならないように、気をつけましょう。25小節目からの4小節は、高い第六音から低い第七音までと、音程の幅が広いワンフレーズになっているので、歌いにくくても途中でチェンジせず、一定の音色を保ちましょう。

29小節目からの4小節は、高音が得意な人は、前半の高い第六音を、この曲の中で最も綺麗な声で歌いましょう。低音が得意な人は、後半の低い第五音から主音へのフレーズを、深い声で歌い、最後の4小節を、低音を活かして歌いましょう。([E:#x266D]Ξ)

 

.  Allegretto cantabileという速度記号が記してあります。「やや快速、歌うように」という意味がありますので、決して音楽が重くならないように気をつけましょう。

これまでの課題よりもフレーズが長いので一つ一つを歌いすぎないで先に進む感覚を常に忘れないで下さい。

12小節のシの音にナチュラル記号がついているので少し高めを意識して歌いましょう。

13小節目のソの音は次に6度という大きな跳躍が待っていますので響きを落とさずソの音を歌うときにはミの音に向かう気持ちで声を出してください。

後半に多く出てくる付点のリズムは重くならず軽やかに歌いましょう。

25小節~28小節にかけては1フレーズで跳躍が激しいので真っ直ぐ歌うつもりで響きがぶれないように。

最後のフレーズは軽やかにdimして終わりましょう。

([E:#x266D]Σ)

 

.  Allegretto cantabileとあるのは、allegrettoは快速に・やや速く(cantabileは歌うように)という意味ですので、出だしから3段目までは付点二分音符が多いですが、声が重々しくなったり停滞することなくテンポを前に進めていきましょう。ひとつのフレーズが4小節にまたがっていますので、息の配分を考え、クレッシェンド・デクレッシェンドを実践してください。

中間と後半に出てくる付点のリズムは、リズムを機敏に捉えて声の動きを明確に出すことで前半部分との対照をなします。二分音符からタイがかかっている付点のリズムは、どうしても裏拍が遅れやすくなりますので、表拍をしっかり捉えることが大切です。

25小節目に関しては、音の幅が広いために、階名でも母音でも声が途切れやすくなる箇所です。レガートを意識して滑らかに声をつないでください。([E:#x266F]α)

 

. 曲のテンポと指定は、やや快速に、歌うようにで、1番~3番とくらべると、歌う旋律のフレージングが長くなるのが特徴です。明確にフレージングの練習曲です。そのための最初の練習曲と位置づけてよいくらいです。音域もそんなに広くなく、最初の音から1音づつ上向するし、下向もまた同じ。4小節のフレージングを歌うために息をコントロールする事が求められます。息の送り方、吐く量、吐く早さを意識して練習しましょう。

楽譜からの勉強する点は、少し長めのフレージングにそって大きくて&長い強弱をしっかり作って歌うことと、展開部と最後の8小節に出てくる付点8分音符を軽やかに歌うことで、音楽表現につながります。

フレージングのポイントも「なめらかに息を吐いて声帯を鳴らす事がとても重要」です。メロディーが上向する部分では息の分量を上げ、下向するときは優しく息を吐いて下さい。意識的にやってみましょう。音楽表現の指示も歌うようにですから、息の流れがそのまま歌につながっていきます。とても可愛らしく親しみやすいメロディーなので、練習しやすく感じるのではないでしょうか。([E:#x266F]Δ)

 

. フレーズの作り方と、声の強さの設定を考えてから歌うのが望ましいと思います。声の強さとしては、頑張る必要はないと思います。音がしっかり鳴る状態(抜けない)を大事にしつつ、自分の中の設定値で、全体を通して半分を超えないレベル(10段階中3くらいで十分だと思います)を中心として、クレッシェンド・デクレッシェンドをかけられるように心がけてみましょう。

フレーズの作り方は、4小節をひとまとまりと考え、途中に書かれているスラーやブレス記号、クレッシェンド・デクレッシェンドの強弱記号を忠実に守りながら歌えるとよいと思います。音の跳躍のある部分も何ヵ所か出てきますが、自分から跳躍しにいかないで、ポジションを無意味に変えないことを大事にした方がよいと思います。高音域だけ強くなるとか変に目立つことのないように心がけましょう。付点のリズムも正確に歌う必要がありますが、リズムは正確に歌いつつも過度に跳ねた感じや重たくなる感じは不要です。

ここまで、すべて楽譜に書かれている内容をもとにしていますが、緻密に歌おうとすると、実はハードな練習曲です。ですが、声の癖をとったり頑張り過ぎてしまうような人への練習曲としては向いていると思いますので、よい訓練だと思って、楽譜に忠実に歌ってみてください。([E:#x266D]Я)

 

. 3拍子4小節単位のまとまりとなってフレーズが作られています。

構成としては4小節単位が2つセット、つまり8小節ずつが一つの音楽的なまとまりとなってメロディーを構築しています。

1~8小節Fdur

9~16小節FdurCdur

17~24小節 臨時記号がついて少し短調の雰囲気を帯びたFdur

25~32小節 同上

33~40小節 コーダ 音楽の帰結部分

コンコーネ1番~3番にはなかった3拍子の登場です。四拍子より一拍少ないわけですから、ブレスに自信のない人でも少し楽に感じて歌えるかと思います。3拍子、ワルツのリズムに乗って歌いましょう。決して123すべて同じ重さ、同じ価値にしないよう気を付けてください。3拍目を軽くアップビートととらえると次の小節に進めやすいです。

楽譜に記載されているクレッシェンド、デクレッシェンドをしっかり守りましょう。クレッシェンドでは息を増幅させていくように、デクレッシェンドでは、音を小さくするからといって体が必要以上にしぼまないよう気を付けましょう。12小節目のCdurに転調するハーモニーを意識して歌いましょう。クレッシェンドで増したエネルギーは14小節目の高音E5への跳躍に用いましょう。付点音符は重くならないように。スキップをするイメージで軽やかなリズムにしましょう。35小節目のような音型のデクレッシェンドは、短い音符を軽やかにすることで作れます。語尾を重たくしないことです。([E:#x266F]β)

 

. 4曲目にして初めて出てくるものが3つあります。1つ目は、Allegretto cantabileという速めの速度表示、2つ目は途中で出てくる付点のリズム、3つめは3拍子であることです。

1つ目の速度に関しては、この曲独特の長いフレーズが関係しています。一つ一つの全音符に気をとられすぎずに、8小節ないし16小節からなるフレーズを意識することです。特に初めの跳躍進行である4小節目の「ファ」が遅れがちであり、また取ってつけたようになりがちなので、長いフレーズの途中にすぎないことを意識するとよいでしょう。

そして2つ目の付点のリズムです。中間部に急に現れます。跳ねるリズム感を、手や体で表現してみましょう。長い音符の後、力を抜くことによって跳ねます。力が抜けない人が多いです。付点とは、バスケットボールのドリブルの感覚です。手首の力を抜いて地面にバウンドするのです。

3つ目の、3拍子の拍子感では、日本人には苦手なことが多いです。リズム感を身につけるにはダンスのステップを踏んでみるとよいです。ワルツは遅いテンポでは拍ごとに足を踏みかえ、速いテンポでは1,2拍は、1踏みです。いずれにしても3拍目で回転し、スカートをくるっと回します。([E:#x266D]∴)

 

. 一言で言うと静寂の音楽、声も心も明鏡止水を目指して練習しましょう。

音域も広くなく、跳躍も少ないので、同じポジションで歌うことを心がけてください。

はじめの16小節間は長い音符が続きます。こういった音形は歌が遅くなりがちなので、伴奏のリズムに乗るように心がけます。

17小節から現れる付点のリズムは、1拍目最後の16分音符と2拍目をつなげるつもりで歌うとリズムが立ち、声の流れもよくなります。([E:#x266F]∂)