A.お客様に、表現したいことを伝える、ということは、とても重要なことであり、それが、永遠の演奏家としての課題だと思います。気持ちを込めることも大事ですが、それとともに、技術も必要になってきます。それは、体を響かせるですとか、そういうことも含まれますが、一番には、心と一番のつながりをもつ、横隔膜にあると思います。人が本当に、心から、泣いたり笑ったりしたときに、横隔膜は活発に運動をします。「笑いすぎでおなかが痛い」という経験は誰にでもあると思いますが、それは、一つの例です。
ですから、歌い手は、逆に横隔膜を自由自在に操ることができなくてはなりません。それには、日ごろから、腹式呼吸をこころがけることはもちろんですが、いろんなことに、感動したり、感激したりすることも大事なことです。それを、言葉に出して、表現することを、日ごろからしていると、とてもよくなります。
また、横になり、45度くらいに上半身を起こした状態で、歌を歌うことも、とてもよい練習になります。息を止めてみるなどの練習も、ブレスコントロールにかなり効き目があります。舞台に立ったときには、「自分はこう思います」という気持ちで表現すると、自分の中でおさまらず、お客さまの心に届く歌が歌えるのではないでしょうか。一人で練習しているときも、一流の方が演奏するようなホールで歌っている自分など、イメージしながら歌うと、本番の時に、とてもよい効果があります。何よりも、自分が楽しく、歌えるのではないでしょうか。(♯Ω)