A.実際にスタジオでは感じられない、自分と相手役との距離感を学ぶことができるのです。その距離感を身につけることで、画面に映っている役と役との距離感もつかむことができるのです。近くにいる相手に大きな声でしゃべったり、遠くの人に向かってささやいてみたりというような、不自然な演技ではなく、自然な距離感でのセリフまわしができるようになってくるのです。
距離感とも関係してくるのですが、実際に目の前に相手役がいて、その相手とセリフのやり取りをすることが大切なのです。自分の思いがちゃんと伝わっているのか。相手のセリフを聞き、思いを受け取り、それをさらに自分のことばで返せているのか。アイコンタクトできているのか。そのやり取りの集中から、自分の役も、相手役への理解も深まっていくのです。相手役とのリアル体験が大切なのです。
舞台に立っている以上、お客さんの存在を抜きにはできません。自分の役、気持ちに入りつつも、お客さんの存在を感じていくのです。もちろん自分の演技に集中しているのですが、一部冷静な心でもって、お客さんへの意識も持っているのです。この感覚は説明しづらいのですが、この感覚を鍛えていくと、客観的に自分が見られるようになってくるのです。