A.意識しないで無意識で喉が開くようになったのだと思います。結果としてそうなったんだと。喉を開くことが歌う目的ではないですから。一流のプロの歌手は「喉を開ける」ことを意識して歌っていないと思います。
クラシックの場合は練習の段階ではそれを意識して声を出していることもあるかと思います。マイクのない舞台で歌うので、声を大きく響かせることが条件ですから。
体は楽器であり、共鳴体ですから、のどの奥を開けて、その深いポジションから声を出していく。またのどの力が抜けて息の流れが良くなるというイメージでも「喉を開ける」イメージがつかめるかと思います。
場を踏んでいって自分で身につけていった方と、きちんとトレーナーや先生について学んできた方の二手に分かれると思います。なかにはごくまれにすぐに出来てしまった方もいるかもしれませんが、日本語はそういった話し方をしないので、ほとんどは意識して身につけたと考えてよいと思います。
その点、言語的にも母音の深いイタリアなどラテン語圏は自然に出来ていると思います。特に『ウ』の母音は明らかに違うので、意識して聞いてみて下さい。喉を開くというあまりにも抽象的な表現のためわかりにくいと思いますが、音で聞くと明らかに違います。まずは今、自分の出している声は喉が開いているかどうか確認し、開いていないと思うなら身につけられるよう練習するしかないのです。人が何日で出来たかどうかではなく、自分が出来るようになるかどうかが重要なんです。
無意識でも出来るようになるには相当な場の数をこなさないと不可能でしょう。私の事ながら、私は舞台に乗っている時には今でも『深いポジション』と意識をして喉を開くようにしています。しかし、これも初めのころは舞台に乗っていることだけで緊張し、喉を開くという意識は飛んでしまうのです。ですから結果的に言えば、無意識に出来ているようにしなければいけないのです。余裕がでてはじめて客観的に自分のスタイルを確認しながら歌えるようになってくるでしょう。