A.トレーニングし始めると、呼吸法や発声であったり、基礎的なことを多く行なうことになります。しかし忘れていけないのは、そうした基礎は大事だけれども、最終的にいかにお客さんを感動させられるか、ということが大事だということです。最終的な結果が大事なのです。完璧な呼吸法、そして完璧な発声ができても、歌として人に伝わるものがなければ歌う意味がありません。ですからトレーニングを行なっている過程でいつもそういったことを考えながら、努力していくことが必要になります。
呼吸にしても呼吸のための呼吸ではなく、体の深い部分から息を吐き、その流れに思いを乗せていくんだとか、発声にしても、発声が安定することで音程や声自体が磨かれ、そのおかげで表現力が増すという方向ならよいのです。そこを履き違えないようにしましょう。
ですから基礎は基礎で磨いていきながら、歌の内容や表現力を深めていくことも大事なのです。この2つを同時に行なっていくのです。楽器としての体を鍛えていくことと、気持ちを高め深めていくトレーニングも行なっていきます。
具体的には、まずは歌詞の読み込みが必要です。カラオケ的に表面的な歌詞を歌っていくのではなく、歌詞を読み込み、内容を理解して、その世界観をつかむことが必要です。全体としての世界観をつかんだうえで、細かい歌詞の内容をつかんでいきます。
たとえばAメロ、Bメロ、サビと3場面に分け、それぞれに対して内容をつかみ、自分自身のリアルな気持ちを探っていきます。雰囲気ではなく、リアルな気持ちを作り、リアルな気持ちで歌っていくのです。リアルな気持ちがなければ、あいまいな表現になってしまうことでしょう。ですから必ずリアルな気持ちを作るのです。そのためには読み込むことも大事ですし、声に出して読んでみることも効果的です。何度も何度も読み込んでいくうちに、必ず歌の世界が見えてくるはずです。ここをつかむことが、歌の表現で1番大事なことなのです。(♭∞)