私が、このように研究所のことを語るのは、トレーナーに教わろうという姿勢から始めたとしても、一人ひとりが自分の声、自分の表現の研究所をつくって欲しいからです。
私は、環境と習慣を変えていく、その必要性を、今いらっしゃる人に話しています。
自分を中心に、自分の目的を達成するのに、必要な環境を整えていくこと、そのことの一環としてここを使って欲しい、と。そのためにここを変え、ここをあなたのために、役立つようにして欲しいのです。やめることや休むことも含めて自由ですが、表現のもつ力は、人のいる場を変える、ここは、その変える力をつけ、試すためにあるのです。養成所のときは「あなたがここを変えないのなら、あなたのいる意味がない」と言ってきました。
それが、「教えてくれない」と学べない人が多くなると、まるで今の日本の縮図のようになるわけです。いつでも研究所や私や、いろんなものを変えてきた人たちに、多くのことを学べたはずです。充分にそれを試行錯誤する環境があったはずです。
立ち上げの頃はゼロだから皆が創った。最初のスタジオは建物のペンキ塗りまで生徒がやりました。そこからライブスタジオが実現して、疑似ライブまで開催されるようになりました。すると、そこを利用したい人、創造でなく消化する人が多くなってきたのです。創造する努力を怠ると、人は自分でなく他人をみます。ものごとを否定的にみます。
その結果、チャンスがなくなる。つくっていく人が現状を変えるのなら、つくらない人も現状を変えていく。日本の戦後の、進退という2つの歩みが、この研究所で起こったのです。私は、自分のことや、やりたいことや、ここまで接してきた人を例に語るようにしていますが、夢のために時間を投資しているかということです。(Ei)