発声、呼吸のメカニズムを大まかに捉えていくと、次のようになります。
1、 呼吸(呼気)―エネルギー源[肺・内、外肋間筋・横隔膜ほか]
人間の体という楽器をオーボエにたとえてみると、声帯は、そのリードにあたり、声の元を生じさせていいます。声帯そのものを直接には動かせないので、呼気をコントロールすることによって、周辺の筋肉も含めた声のコントロールを習得していくのです。そこで、確実に声をコントロールするのに、腹式呼吸の訓練が必要といわれます。息は肺を取り囲む筋肉の動きによって(その一つが横隔膜)コントロールされていきます。
2、 発声【原音化】―声立て(声帯振動)息を声にする[咽頭・喉頭・声帯ほか]
肺から吐き出された呼気は、直径2㎝ぐらいの気管を通って上がっていきます。咽頭は、食道、気道を下に分けるところにあります。気道の調節は、喉頭(唾を飲むと上下に動くところ)で行います。この喉頭に、V字のとがった方を前にする象牙色の唇のようなものがあります。これが声帯です。
声帯は、気管の中央まで張り出しており、左右の声帯がくっついて、呼気がせき止められます。一秒に何百回~何千回もの開閉で、声の元を生じます。(440回で「ラ」の音です)その響きのない鈍い音を喉頭原音といいます。
3、 共鳴【音声化】―声の原音を響かせる[口腔・鼻腔・咽頭など]母音を響かす。
声を大きくしたり、音色をつくりだすのは、楽器の管(空洞)に当たります。(ここが共鳴腔と呼ばれます)人の共鳴腔は声道といって、口腔、咽頭、鼻腔などです。そこで、声として開いているように響くようになります。
4、 構音【言語化】―声を言葉にする[口腔・唇・舌など]子音をつくる。
声を出しているときに、口の中や唇のかたちが変わると、響きも変わります。舌を前から後に引っ込めるだけでも、ずいぶんと音色が変わるものです。(これらを調音ともいいます)
以上、ここでの【原音化】、【音声化】、【言語化】は、私の用法です。「構音」は医学で、「調音」は音声学で使われています。(♭ф)