発声と音声表現のQ&Aブログ

ヴォイストレーニング専門の研究所内外の質問と、トレーナーと専門家のQ&Aブログです。 あくまで回答したトレーナーの見解であり、研究所全体での統一見解ではありません。また、目的やレベル、個人差により、必ずしもあなたにあてはまるとは限りません。参考までにしてください。 カテゴリーから入ってみると便利です。 【rf :他に詳しく答えているのがあるので、それを参考にしてくださいという表記です。】 引き続き、ご質問もお待ちしています。できるだけ順次とりあげていきます。

Q5125~5128.鼻にかかった声を直すには何が必要ですか。(11)~(14)

A.鼻にかかった声の場合、風邪などで鼻づまりになった時にもなりますが、それ以外に軟口蓋の動きが悪いために声が鼻から抜けるために起こるようです。声を出しながら鼻をつまんで声が変わるようであれば軟口蓋の動きが原因です。
軟口蓋の動きを良くするためにはまず軟口蓋の場所をしっかり把握しましょう。口蓋垂(俗称のどちんこ)の手前の柔らかい場所です。口を大きく開け「んーがっ、んーがっ」と繰り返すと『がっ』の時に喉の上の方でベコッと上がる場所です。鏡を見て確認しながら繰り返し練習し、軟口蓋があげる感覚を掴み発声するとよいと思います。(♯μ)

A.鼻にかかった声を、響きが鼻の先に来てしまってうすっぺらな声になっていると仮定しますが、そこで必要なのは頭の中の声の広がりをつかむ事が必要だと考えられます。鼻にかかるということは、ある程度声に響きがある状態なのではと思いますが、共鳴気管としての顔の中、頭の中の広がりを感じず、鼻の穴の入り口あたりの水平ラインでその響きが上にいかずにとまってしまっています。
練習方法としては、鼻をつまんだ状態で声をだし、苦しくなく、そして手を離した状態とつまんだ状態で同じ響き、とくに広がりを感じる響きになるよう取り組んでみるというのがあります。つまんだ状態で、より顔の奥、鼻の奥を広げる感覚でやってみて下さい。
(♭Ч)

A.鼻にかかった声になる原因は、鼻腔を意識し過ぎている場合が多いように思います。
鼻腔を狙って発声すると、確かに自分にはよく響いているように聴こえるので心地よく感じるのですが、実際には、声楽的に響かせたい場所(俗に言う「マスケラ」の位置)に当たっている声と比べて、非常に薄っぺらく、言葉が非常に聞き取りにくい状態になってしまいます。改善策として、実声を鍛え、身体をしっかりと使った浮かない声にすることが最優先の課題です。
具体的には、「ブレスを深くしっかりと吸えていること」、「口腔が縦に広く開いていること」、「低音域で胸が振動するのを感じられるように発声すること」、が重要になると思います。ブレスは身体が開いていくような感覚になるようたっぷり吸えるようになりましょう。肋骨が開くイメージがつかめるといいかもしれません。
口を縦に開く時は、あくびのようなイメージを持つとわかりやすいと思います。低音域の練習は、片手は胸にあてて、片手は鼻をつまんで声を出す練習をしてみましょう。鼻をつまんでいるため、最初は苦しくなると思いますが、胸にあてている手が振動を感じられるように出していくと、次第に鼻に集まっていた声が自然な方向に出始めると思います。中音域も同じように練習してみましょう。
響きを自分から狙いにいくと、鼻にかかった声になりやすくなります。自分から狙いにいくと、高音域で喉が詰まりやすく、非常に出しにくくなります。
最初から響く場所を狙いにいくのではなく、身体を使った発声をしていくことにより、結果的に響く場所に声が到達するような発声をしていくことが、自分の声を最大限有効活用できるテクニックだと思います。(♭Я)

A.「鼻声になっている」、「鼻にかかっている」と指摘される人がいると思います。この現象が起こっている人の話では、「声を響かせるため」という意見が多く、中には「昔、合唱をやっていた際に、そう指導された」という人もいます。日本の声楽界においても、いわゆる「鼻声」によって響きを集める手法でレッスンをする先生がいますし、聴いていて「鼻声」であると思う歌い手もごまんといます。
しかし、これは日本における問題のようで、海外で活躍している一流の世界的な歌い手には起こっていない現象なのです。
私の聴いた限りでの感想であり、見解ですが、「鼻声」は自分には良く響いているように感じ、気持ちがよいのですが、実際に大きなホールでそういう声で歌っている人を聴くと、「輪郭がぼやけてしまって、何を歌っているのか分からない」、「実は意外と遠くまで届いていない」、「鼻に集まった声で強めに発声すると、アンサンブルの部分できつい音に聴こえ、悪目立ちする」という声に聴こえるのです。それゆえ、欧米の一流の劇場で歌うには不向きであり、自然な声か不自然な声かといったら、明らかに不自然な声であるため、世界的に通用しないのだと思います。
さて、そのような声になってしまい、改善したいと考えている人にオススメなのが、次のようなメニューになります。
1.手で鼻をつまみ、ブレスも発声も全て口から行なう
鼻声の人の多くはブレスが浅かったり、鼻に声を集めてしまうことに原因があるので、今の現象を自覚するために、原因となっている現象を浮き彫りにさせて見ましょう。鼻をつまんで「苦しい」や「スゴイ鼻声になっている」と感じたならば、それを改善していかなければなりません。
2.胸声を活用できるようにする
中低音域が浮いた発声になってしまうと、鼻声になりやすくなります。中低音域では胸に手をあてて振動が感じられるように発声してみましょう。これができるようになるだけでも、だいぶ改善されてきます。
以上のようなことはほんの一例ですが、意識しながら行なうと改善されていくと思います。(♭Я)