A.鼻にかかった声に自覚があってもなくても、一度鼻をつまんで(指で鼻の穴をふさぐ)声を出す、歌うことを行なってみましょう。強固に鼻にかかる人はまともに声が出ず、鼻をつまんでマ行(マミムメモ)を発音したときのような詰まった声になるはずです。また、鼻にかかった声と自覚がないがなんとなく歌いにくい、声がでにくいなどと感じたら、試しに鼻をつまむ作業を入れてみるとよいです。鼻の方へも息を送っていた状態から、その道が閉ざされることで息がひとつの方向(口だけ)に集まります。そして手を離した直後に歌ったときの状態こそが、鼻にかかっていないときの感覚です。鼻をつまんで歌う→手を離して歌う、この繰り返しの中で感覚をつかむことが必要です。(♯α)
A.まず副鼻腔炎など疾患にかかっていないかチェックすることです。さらにもともと鼻腔が狭い形で、息が鼻からあまり出て行かないタイプの人もいると思います。鼻中隔湾曲症のように先天的に狭い人もいます。その場合、手術で形としては解消されますが、要は使い方が大切です。
もともと、その狭い状態で呼吸はしてきているわけなので、自分の身体に見合った息を吐いたり吸ったりはしているのです。そこから右と左の鼻の穴から出てくる空気の分量を自分で比べてみると、左右どちらかが、案外空気が出ていないことを発見できることもあります。鼻から息を出す感覚を捉えなおしてみることもよいと思います。
あとは、上顎を引き上げる感覚があれば、鼻腔の裏側に空間を感じられるようにもなります。鼻にかかった声、というのは、鼻に共鳴していない声、ということです。声は鼻だけではなく、身体の様々な部分が共鳴しているようにしたいのです。
俳優のトレーニングで、わざと鼻にかからせる、だけでなく、おでこにひびかせる、頬にかかった声にする、目から声を出している感じにする、などのトレーニングがあります。無意識に鼻にかかってしまうのではなく、意識的に声を移動させる感覚を磨くトレーニングもあるのです。鼻の周辺に関わらず、身体の癖を直すためには、違う身体の使い方を発見しなければなりません。ある意味新しい使い方、新しい感覚を探していかないと、そのままでは直ることは難しいでしょう。(♯Γ)
A.鼻周辺の狭い空間だけで響きを作ろうとしているのかもしれません。鼻に集めようとするとどうしても前面への力が強くなり、喉声にもなりやすく、身体もバランスよく使えている状態とは言えません。まず、何度も欠伸をしてリラックスしましょう。
後頭部がやわらかくなうようなイメージを持ち、身体も柔らかく感じます。顔の前面だけではなく、後頭部、身体の広がりを意識します。身体がほぐれてきたのを感じたら、仰向けになって練習していくとよいと思います。鼻にかかった鋭い響きではなく、丸い感じの響きやさしい音色を感じてください。(♯Ж)
A.共鳴がダイレクトに鼻腔のみに響いてしまっているのでしょう。おそらくその原因として、口の奥の縦の空間が狭く鼻に抜ける呼気の量が多いのではないでしょうか?発声時の舌の位置が高くて呼気の多くが鼻に抜けてしまうのか?おそらく声帯周りの喉の筋肉も閉めがちで喉頭も上がっているのではないでしょうか?
まずは、顎・舌根・喉回りのリラックス、そして口の奥の開口を縦に縦に開くように意識してみてはいかがでしょうか。つまり母音の響く空間を広げてあげるのです。口の奥の空間が広がるほどに、共鳴も広がりマイルドになっていきます。
練習方法の一つとして、人差し指の腹をしっかり舌の奥まで這わして、顎を最大限落とし、舌の筋肉全域もリラックスさせた状態で母音発声をしてみてください。
個人差はありますが、通常、母音の変化によって舌の筋肉に力みを感じます。しかし発音は明晰でなくてもいいので、なるべく舌の筋肉の緩んだ、且つ口の奥の縦空間の広い状態をキープさせてください。この状態での発声を体感したら、指を抜き、通常の開口発声を先ほどの空間感覚を応用して近づけていってください。鼻にかかる声が、少しでも解消されていればいいのですが。(♭Д)
A.鼻腔共鳴と副鼻腔共鳴は違います。鼻にかかった声は鼻腔共鳴になりますので、気をつけましょう。鼻筋や頬、目の辺りに響いているのが副鼻腔共鳴です。
鼻が詰まっている人は鼻声になりますので、歌う前に鼻の通りをよくすることが必要です。ハミングをして鼻に息がしっかり通っているか、まず確認してみてください。
それから口の中を広く高く使うことを忘れずに。胸式呼吸ではなく、腹式呼吸をすることです。身体全体が響いていることを感じられば、もうそれは鼻声ではなくなっています。(♯Å)