Q.一声、一フレーズごとのアドバイスを期待したいのですが。
A.レッスンをしてみないと、どういうアドバイスになるのかわかりません。「これはどうですか。それではあれは」に対し、いちいちトレーナーが答えていくと自分で考えなくなります。1曲の2ヵ所くらいを聞くと、ほとんどの人の声や歌の力はおよそわかります。
Q.20曲ほど、すべて聞いて、どれがよいかを選んでください。
A.ときおり、どれがよいのか選べませんという人がきます。どのプロデューサーでも、オーディションにたくさん出すのは不利です。もっともよいのを一つ出すことです。何より、自分の判断力のないことのアピールになります。そのこともわからないというなら、まだ先行き真っ暗です。
Q.フレーズのトレーニングは、歌唱とどういう関係にありますか。 A.オペラに対する発声練習曲集のような位置づけです。歌では全体の流れやバランスを整えるために、声に専念できません。一方、理想的な発声だけでは歌にするのにギャップがありすぎて、そのまま使いにくいでしょう。 Q.レッスンで歌唱よりフレーズをトレーニングに使う理由は。 A.歌全体では、よいところが全く出ずに以前の悪いところでやってしまいがちです。フレーズは、その間をつなぐとともに、声や歌のオリジナリティの原点となります。歌そのもののアドバイス、発声のアドバイスと別に、フレーズできめ細やかに音色やメロディ、ことばの処理、音感、リズム感をもっとも厳しくチェックすることができます。 Q.レッスンでフレーズをもっていくのに、トレーナーに意図、解釈などを伝えるのはなぜですか。 A.主体的に自分のやることに意味をもち、責任をもって取り組んで欲しいからです。イメージや意図によって、フレーズも変わります。トレーナーは、そのブレをみる必要があります。また、本番の歌唱そのものとレッスンでの歌唱は目的が違います。客に歌えばよいというのでなく、よりよくするために歌うのです。特に、今回は何をチェックしてもらいたいかという要望にもよります。 Q.普通のレッスンではやらない「基礎の基礎」の勉強をすることはできますか。 A.はい。レッスンの前提としての、喉、声の判断、心身のトレーニングは、いろいろとあります。 Q.すぐに役立つレッスンをしたいのですが。 A.表現のチェックのレッスンと心身の面へのアプローチのレッスンがよいでしょう。レッスンについては多面的にとらえた方がいいと思います。たとえば、今すぐ役立つものと、あとで役立つものを併行させることなどです。 Q.レッスンでは、ある程度すぐ役立つことがないと、続けられないと思うこともあるのですが。それは基礎になりませんか。 A.たとえば、もっともよい声でレッスンすると、その声で歌一曲は歌いにくくなることもあります。本当の基礎というのは、すぐに役立たず、時間のかかることと思ってください。他の人に確実な差がつけられることなのですから。 Q.複数の先生で取り組むと、最初は迷っても、早く共通項や本質をつかめるのですか。 A.人にもよりますが、たった一人の先生よりも相互に比べることから、より多くの観点が早くもてるようになるでしょう。 A.そこに向けて目一杯の調整をしていきましょう。調整と条件付けをどうやっていくのかは、人によってもそれぞれに違います。すごい実力ということを明確にしてみましょう。