Q.声のための日常生活とは。
A.適度な運動と適度な食事で、自分の体が一番ハードな感覚に耐えられるようにキープするとよいでしょう。心身が自由に動けるようにするスポーツの準備というのは、理想かもしれません。歌は、直立姿勢で歌おうと思ってしまう人もいます。スポーツをするのに全身かちかちな人はいないわけです。運動栄養学にも通じるとよいし。
Q.体を動かすと、声がうまく出ない。それは感覚がまだ鈍くて、細かく捉えていられないからですか。
A.声は呼吸を介して出します。しかし、呼吸も、体の動きや意識の影響を受けなくなればさらによいと思っています。
Q.どのくらい寝ればよいのですか。
A.その人の体質ですね。何時間寝るのが一番いいのかは一概に言えません。
Q.声のために体調がよいとは。
A.要は、声へ集中力を上げていく。カラオケなら誰でも歌えるかもしれません。そのときに、一番いい集中力で声がベストの状態なのか、雑になっているのかをきちんと判断できるようにしていくことですね。
Q.喉の疲れのバロメーターは。
A.次の日に喉が痛いとか疲れたということでわかります。それを踏まえないで、同じ練習してしまうのはよくないでしょう。
Q.限られた時間の練習メニュは。
A.「30分で」というのは、もっと質の高い練習ができるのです。時間があまりあると流してしまうものです。学習の目標と課題の設定を甘くしないことです。
Q.毎日カラオケにいって3時間、ありったけの曲を歌うのが練習ですが。
A.若い人ならその経験をしたということで、声が強くなるし、いろいろな音楽をやったという勉強になるから、悪いことではありません。ただ、レッスンに来て、そういうことをやるなら、それは、喉にも悪いし、いい声が出なくなるという危険を言わなければいけません。
Q.喉に違和感があるというのは、悪くなっているというのではないのですか。慢性疲労を感じたことがありません。
A.歌手も役者も、慢性疲労でもやっている人はたくさんいます。喉を休めないとだめだと言われても実感できない。舞台では声が出てしまうからです。見分け方は、オフになって声が出るか、小さな声高い声が出るかで、およそわかります。
Q.喉が痛いなら医者に行くべきか。
A.そうですが、必ずしも医者は当てにできません。常にドクターストップになるからです。私の今日の声でも、もしかするとストップ、疲れていますから、休養をとってと言われる。でも、現場ではそんなことはできません。自分の中で調子がいい悪いがわかること、そして使い道に対応して扱えればいいともいえます。
Q.声の調子の判断のやり方は。
A.歌が厳しいのは、音域があるからです。役者は根性でできてしまうでしょう。声がガラガラでも、それでよかったと言う人も周りに多いわけです。その声の方が感情がこもっている、疲れていない朗々とした声も演技は難しいこともあり、わかりにくいと思います。歌い手の場合は、出ていたキーに届かない、苦しいとか、いつも丁寧にできたのに、雑になってしまうとかでわかるのです。