A.直そうというときには、歌とか発声のトータルの流れから、音程とかリズムとか高い音、発音…など、一つの問題だけを取り上げて、がんばっているわけです。その修正プログラムをいくつもつくってきた私からみると、ほとんどは、単独でなく、いくつもの問題が絡みあっているのです。そのため、その一つだけを直しても直らないし、意味もない。その問題は、本当の問題でなく、部分的な問題にすぎないことがほとんどだからです。つまり、音程を正しても、高音に届いても、歌という点では、欠点を隠しただけで少しもよくなっていないのです。これをヴォイトレの指導と思ってやるから、本人が気づかず、いつまでもレベルが上がらないことが多いのです。ヴォイストレーナーの陥りやすい自己満足ですので、私はかなり厳しく自戒させています。