A.丁寧に歌うためには、徹底して部分的なところにこだわるトレーニングを行いましょう。1つの音の出し方、次の音へのつなぎ方に、とことんこだわってください。
まずは音の出し方。例えば、「ドドレ ドドレ ドドミ」というメロディがあるとしたら、最後の「ミ」、この初めての出てきた音をどのくらい新鮮な驚きを持って感じられるのかが、表現の根幹を成します。2番目の「ドドレ」の「レ」と、「ドドミ」の「ミ」では、表現の意味合いが違ってくるのです。同じように、曲のあらゆる部分で何が起こっているのかを聴き込んで、そして歌い込んでみてください。
そして音のつなぎ方。曲を歌うときには、フレーズとフレーズの間隔を、曲の定められたテンポでなく、自分の呼吸で決めてみてください。本来は次のフレーズに0.5秒で入るところを、自分の表現を成り立たせるのに2秒かかるのなら、2秒後に次のフレーズを入れるのです。やがて1.5秒、1.0秒と体を伴わせた表現で、最終的に0.5秒に合わせていきます。
このように、トレーニングにおいては、そのプロセスを徹底して大切にします。何よりも表現として成り立っていることが、曲をなぞって歌うことよりもまず優先すべきことだと思うのです。(♭)