発声と音声表現のQ&Aブログ

ヴォイストレーニング専門の研究所内外の質問と、トレーナーと専門家のQ&Aブログです。 あくまで回答したトレーナーの見解であり、研究所全体での統一見解ではありません。また、目的やレベル、個人差により、必ずしもあなたにあてはまるとは限りません。参考までにしてください。 カテゴリーから入ってみると便利です。 【rf :他に詳しく答えているのがあるので、それを参考にしてくださいという表記です。】 引き続き、ご質問もお待ちしています。できるだけ順次とりあげていきます。

Q. 共鳴についてうまくいきません。パワーがないし、一定に保てません。

.共鳴には、いくつかの種類があり、それらの複合具合のさじ加減によって、声はさまざまに変わってきます。それは、トレーナーや先生の好みで決められてしまうことも少なくありません。

どの共鳴にも共通している点は、共鳴のさせ方を体で実感し、繰り返しトレーニングすることで、さらに磨いて強化し、簡単に再現できるようにしていくことです。そうしないと、実際には使えないということを肝に銘じましょう。

共鳴は、力ずくではうまくいかないものですが、ある程度の力があるほうが、やりやすいことも事実です。共鳴させるために必要な、口の中の開け方など、そのために必要な筋肉がうまく育って、楽に使えるようになったところで、初めて、無駄な力を入れずに、効率よく共鳴させることができるのです。

ですから、当然のことですが、一朝一夕でできるようにはなりません。共鳴のレベルにもよりますが、統一性やパワー不足など、ワンランクアップさせるだけでも、1年くらいは、しっかりと自主トレに取り組む必要があります。しかし、考え方を変えれば、時間さえかければ、手に入れることが可能だということです。(もちろん、進むべき方向を間違えてしまっては、意味がありません。)(♭Ξ)

 

.改善策として、まずやるべきことは声を前に出すことです。声を前にだすためにはかなりパワーがいります。できているつもりで、できていない人が多いです。喉が開かないと声は前にいきません。舌根は下がり、下あごも引き(または下げ)ます。嘔吐するような状態になるときもあります。

一人では難しいのでなるべくトレーナーの指示でおこないましょう。レッスンでも、声を前にだすためにさまざまなアプローチをしました。ある人は「これは一人では想像もできない感覚」と言ってました。声を前にだすためには、自分では悪いほうにいくんじゃないかという声の聞こえ方、出し方のアプローチが必要な場合があるからです。

喉が開かないで声を前にだそうとすると、喉をいためたり、ただ怒鳴っているだけの状態になりかねません。喉が開いて声が前に出始めると息も流れますから、共鳴がぶれることが少なくなりますし、パワーもでます。なによりも声が安定しますから歌っていての辛さは減少するでしょう。喉があかない、声が前にでていない中で自分で声を前後左右、上下にコントロールしてもかえって悪い迷路に入り込むことが多いです。一つのことに特化してトレーニングすることも重要です。(♭Σ)

 

.共鳴に統一性を持たせるのは、歌を歌う上でとても重要なことのひとつです。その統一性を持たせた声にパワーをつける・一定に保つ、ためのトレーニングをするという順番で捉えるとわかりやすいでしょう。

共鳴が統一するとは、要するに「母音アイウエオの共鳴を揃える」ということです。大抵は歌いやすい母音=共鳴しやすい母音で一致します。例えば母音ア、イが共鳴しやすい方は、アーオ、アーエ、イーウ、とアやイの共鳴を保ったまま次の母音に移行する練習をします。共鳴しにくい母音だけをどうにかしようと頑張るより、よい共鳴からその状態を引き継ぐやり方が断然に近道です。

共鳴のパワーや一定に保つことについては、息のスピードや息の流れ方が関係します。大雑把な表現ですが息の流れがゆっくりなら穏やかな共鳴、速い流れならパワフルな共鳴、という感じです。また共鳴した声は息の流れに乗って出ていくので、共鳴を保つにはしっかり身体を使って息をコントロールすることが必要です。(♯α)

 

.根本的な原因は、体で支えられていないことだと思います。直接的な原因としては、呼気圧が足りないことによる不安定な状況であると考えます。

共鳴というと、どうしても合唱声のような、軽やかな頭の上で響いているような声のイメージがあると思いますが、声の響きに意識が向きすぎるのはあまりいいことではありません。あくまでも、声を自在にコントロールできるようになった人の最終手段であるべきところなので、いきなり響きを狙いすぎないようにしましょう。

また、音程や高音に対する向き合い方もいろいろな影響を与えます。音を考えすぎてしまうと、声の通り道がその瞬間に途切れてしまうことがあります。声の通り道が変わってしまうことも、声が出しにくく感じる原因の一つになります。

体での支えと呼気圧が足りないことが原因であると述べましたが、呼気圧、つまり、息を吐くエネルギーが不足していると、声の通り道が一定に保てなくなり、結果的に共鳴のビブラートがなくなったり、レガートな感覚が失われることに結び付きます。

それを防ぐためには、しっかりと息を吐ける環境づくり、ブレスの吸い方から、取り入れるポイント、そして、吐き方に至るまで、しっかり体と連携が取れた状態にしなくてはなりません。大きな課題になりますが、全体を改良していくことによって、これらの問題が解決していくことに結び付くと思います。(♭Я)

 

.共鳴を意識したとき、どのような声の種類を用いていますか。頭声でしょうか、それとも胸声でしょうか。

弱々しい頭声、弱々しい裏声ですと、パワーが少なかったり、響きにムラが多かったりするかもしれません。まずは共鳴の前に、しっかりとした発声ができていることが前提になると思います。

共鳴を作るのは身体の内側の作業です。内側の空洞をしっかり確保することが必要です。鼻から吸ったら、その周りはまるで空間が大きく拡がっているかのようにイメージしてください。

ある先生はピザを飲むくらい喉が開いていると表現しますし、またある先生は、軟口蓋が頭のてっぺんまで来るように喉を開けてと仰るし、また、耳も鼻も穴という穴をあけて、という人もいます。

ここで注意しなければならないのは、開けるスペースを確保したために、口の周りや首などに力が入ってしまうことです。リラックスを前提としたうえで、スペースを確保しましょう。

統一性やパワー、一定に保つということに関しては、しっかり身体の支えをキープして、一貫して息のスピードが変わらずに吐けるということが必要になると思います。下半身やお腹周りで身体を支えた上で、喉首肩は極めてリラックスしたまま、頭蓋骨の中の空間を広げて、腹圧を高めたまま息を一定に吐いていくようなイメージで練習してはいかがでしょうか。(♯β)

 

.実際に声を聴いてみないと正確に回答できないのですが、次のように整理して考えたいと思います。

・共鳴に統一性がない。・共鳴にパワーがない。・共鳴が一定に保てない。

・共鳴に統一性がない→各母音間で統一できないということでしょうか。そのようであれば、トレーナーのもと共鳴が統一されるよう練習しましょう。

母音から次の母音への移行に時間をかけて響きを揃えるようにします。

・共鳴にパワーがない→共鳴にパワー(力)が必要かどうかというところから考えてみてください。

リラックスして自然に鳴ることが大切だと思います。

・共鳴が一定に保てない→呼吸のトレーニングからていねいにみていく必要があります。

自分の身の丈以上のことをすぐにしようとせずに、無理やり共鳴させようとせずに、ロングトーンや呼吸、姿勢を見直してみましょう。(♯ё)

 

.原因としては、「体の支えが足りない、体自体が使えていない」ということです。体が使えなくて喉ばかりの発声になりますと、共鳴にある程度のパワーは発揮すると思いますが(元々、喉が強靭な方に限ります)、限度が生じます。音程も正確にとることが容易ではないです。もちろん喉に負担がかかります。

では、体の支えということで、気をつけることは、次の手順になります。みぞおちから下腹部→腰→臀部→下半身へとゆっくり長く筋肉を使います。それが体の支えとなり、その支えからゆっくり上顎へ息を送りこみ、息の上に言葉()を乗せるように声を発します。力の比率が、首より下:首より上=9:1になるようバランスを考えます。軽く声を出しても歌詞がはっきり発音できる支えのバランスです。

これらを注意することにより、体を使う発声が可能となり、共鳴に統一性、一定さを保つことができ、パワーもついてきます。また、健康的な声になり、喉への負担も減らすことができます。(♭й)

 

.まずあなたが「共鳴」を感じたということが大切で、素晴らしいです。それが「正しい」とかそうでないか関係なく。それを弱くても不安定でも、いつでもどこでも取り出せることが大切です。

その次の段階では、共鳴できる高さの一つの音を長くのばして下さい。その感覚を忘れないで。そこから少しずつ強くしていきます。一つの音が強く共鳴してのばせるようになったら、そこから少しずつ音程を広げていけるようにしてください。

何よりも「共鳴した!」と思ったらその感覚を忘れないこと、いつでも取り出せるようにすること、そして少しずつ、強さ、音程を広げていくことです。(♭∴)

 

.声帯で発声した振動は咽頭腔、鼻腔、口腔と言った「共鳴腔」で共鳴します。一定に保ったり、パワーを出していくためには、息を送り出すパワーの部分と、上半身のリラックス、口の開け方がポイントになってくると思います。まず、共鳴する口の開け方を練習し、共鳴の感覚を掴みましょう。

そして、腹式呼吸をしっかりしましょう。その際に無駄な力を抜きましょう。そのことでまず、一定に保つことができてくるでしょう。息の送り方でパワーも出てくると思いますが、出そう出そうと思うことより、無駄な力を抜き、息を流すことを意識した方がパワーにつながることが多いです。(♭Ц)

 

.主に二つの原因があります。

一つ目は、音域による問題。得意な音域とそうでない音域で差がでてしまいがちです。これを解消するために、次のような練習をお勧めします。

prrrrvvvvvzzzzz(できない方はハミング)でスケールの練習をして下さい。これだと母音での発声練習のような大きな声もいい声も出ません。その代わりに、高い音も低い音も、いつも引っかかる音域(いわゆるチェンジ)も難なくクリアできます。

また、この練習では自動的にお腹の支えができます。喉仏が低い位置で保てます。やりながらお腹と喉に手を当てて、自分の身体がどうなっているか観察してみて下さい。

次に、同じようにスケールで、prrrr→ア、vvvvv→ウ、zzzzz→イと、途中で母音へと変化させる練習を行います。母音に変化する瞬間に、支え方が変わらないように。

先ほど観察したお腹と喉の状態を保ちながら。これが完璧にできるようになったら、最後に母音だけでやってみましょう。上手く行かなければ、初めに戻って。

このようにして、自分の身体を騙しながら音域による差を埋めていけば、統一感のある声が仕上がります。

二つ目は、母音の違いによる問題。どの母音でも均質な声が出るように整えていく必要があります。

最終的にはほぼ舌の位置の変化だけで母音をコントロールするのですが、まずは筋トレ感覚で、ハッキリと大げさにアイウエオを言う練習がたくさん必要です。どの母音でも喉仏の位置が変わらないように心掛けると間違えないでしょう。(♯∂)

 

.長時間歌ったり、しゃべったりするときに、悩みを抱えている人がいます。オペラや、語りなどは、長時間にわたり声を使いますが、そうした長い歌や、語りにはたいてい、大事な部分と、そんなに大事ではない部分があると思います。最初から最後まで、まったく同じペースで歌ったり、語ったりする必要はないように、できているのではないでしょうか。マラソンと似ていて、ラストスパートをかけるところ、駆け引きするところ、マイペースに行くところなど、あると思いますが、歌や語りも、同じように思います。

発声をよくすることは、大前提ですが、いくらいい発声でも、体力は疲労します。どこが大事なのか、どこでエネルギーを最大に発揮するのかを、考えてみてください。

パワーに関しても、いい発声を身に付けること、とても大事ですが、歌や言葉に魂をこめることでパワーのある声が出ます。技術的なことだけにとらわれず、どう表現したいか、ということの追及も大事にしてください。

(♯Ω)

 

.発声の基礎は呼吸です。呼吸が正しくない場合、響きが一定に保てないし、パワーもなくなります。また、声帯を無理に締め付けて、喉で音程をとって発声した場合も、響きが一定ではなくなります。どんな場合も、声は喉に負担があってはいけません。話しているときも、歌っているときも同じです。

英語を話す人たちを参考にするのもよいでしょう。

発声しているときに鼻をつまんだら、出しにくい言葉(音)があるはずです。このとき、特に出しにくいなどと感じることがなければ、あなたの声は喉声であると考えなくてはいけません。呼吸を横隔膜で支え、喉や舌根に力を入れずに、楽に息を吐きます。ここに声が乗っかるだけです。

パワーをつけたい場合も、力で押すのではなく、腹背筋や声帯の周りの筋肉などを強化して、力強い声、張った声を作ります。一定に保つことも腹筋の力です。少しでも緩めば声は揺れます。

これをビブラートと勘違いしてしまう方がいるようですが、これはビブラートではありません。決して間違った解釈で自己流でやらないよう充分注意して、練習に励みましょう。(♯Å)