A. うすっぺらい声は、あまり声帯に負担をかけず、楽に声を使っていると、どんどん喉が弱くなり、強い声が出せなくなってしまった結果だと、思われます。昔から、「喉に力を入れないように」と、よくいわれます。実際に私も、高校の合唱部に何の因果か入部して以来、10年近く、なるべく喉の力を抜いていました。それが当然のことだと思っていたからです。
しかし、レッスンを受けているある日、どうしても喉の力が抜けず、とても怖い先生でしたので、酷くお𠮟りを受けるだろうと、覚悟していました。ところが、「今日は、とてもいい声だ。何故いつもその声を出さないのか。これからは、必ずその声を使いなさい。」と、とても嬉しそうに、おっしゃられたので、衝撃を受けた記憶があります。
「喉に力を入れないように」とは、微妙な間違いで、正確には、「喉に無理な力を入れないように」、なのです。そこを間違えてしまうと、どんなに呼吸やお腹をしっかり鍛錬しても、柔らかくソフトな、大きい声になってしまいます。
トレーニングとしては、無理のない範囲で、なるべく強く声を出すことです。喉に力が入っても、喉が痛くなったり、声が枯れたりしなければ、続けましょう。うすっぺらい声を直すのにかかる時間は、喉がどれくらい弱くなっているかによります。話し声も、弱く小さい場合は、無理をしないように、根気強くトレーニングしましょう。
曲を歌うときは、声さえ強くなれば、ほんの少し強めに歌うだけで、充分です。もちろん、サビは少しがんばって、パワフルに歌いましょう。声が強くなるまでは、トレーニングもかねて、喉が痛くならない程度に、がんばって歌いましょう。(♭Ξ)
A. 発声の基礎力が上達すればするほど声量という問題はとくに意識する必要はないです。基礎力のある発声は自然に適切な音量で行われるためです。仮に声が薄っぺらいというときには鼻声になっていたり、声門閉鎖がうまくいっていないことが多いです。この二つはどちらが先行していても後からどちらかがついてくる傾向があります。
鼻声に関しては軟口蓋の高さが重要になってきます。ブレスで鼻声になってしまうときもありますが、正しく行われたブレスならば軟口蓋が高い位置に上がって鼻声にはなりづらくなるので、まずブレスをトレーニングしてみましょう。そしてお腹を意識して発声練習してください。声門閉鎖をトレーニングするためには吸気の後一瞬息をとめてから発声してみると効果が高いです。
吸気→止め→発声という順番でしょうか。なれてきたら、息が漏れない程度の声の強さでロングトーンを練習しましょう。音の強さが1~10まであったとしたら2~3の強さで大丈夫です。決して張り上げないように、しかし息はもれないよう。
なかなかうまくいかない人は、短く母音だけで声の強さを7~8程度のイメージで強く発音してみましょう。このときには声門閉鎖がおこりやすいです。しかし強く閉めすぎたりほかの筋肉も強く締めがちなのであくまでも声門閉鎖を強制的に一時的に起こすためのトレーニングだと考えてください。
このようなトレーニングや、基礎力を高めるようなトレーニングを続けていけば自分の表現しやすい声量というのは自ずとわかってくると思います。(♭Σ)
A. 声がうすっぺらいとは、声に厚みがない、響きがないといった感じと思いますが、ちゃんと発声の基礎に取り組めば必ず声の状態は変わっていくので大丈夫です。ただし、自分で感じている「うすっぺらい声」が改善される=歌が情熱的に伝わる、というわけではありません。たとえ、よい声でも、表現力不足でその人の歌が面白くない、印象に残らない、ということは普通にあります。
つまり、歌が伝わらないのは、必ずしも今現在の「うすっぺらい声」のせいだけではないということです。恐らく、今の状態は息が少なく声が前に出ていきにくいのだと推察します。それに加えてさらに口腔内のスペースも狭いために、余計に声に変化がなく一辺倒になっているのではないかと思います。
しっかり声を出そうにも出せない、そんな状態にあるのでしょう。そのような中でどのくらいの声量で歌うかという話は、まだ時期が違います。(もっと後になってからのことです。)まずは、しっかりとした声が出せるようになることを目下の課題としてください。(♯α)
A. うすっぺらい状態の声は、訓練によって改善されていくと思います。状況についてはいろいろ考えられますが、体で支えられていないことや息が漏れすぎていることなどが考えられます。また、合唱などを長年やってきたような人で、軽く歌い、頭の上で響かせることをメインに行ってきたような人も、このような状況に陥りやすいかもしれません。
直していくためには、口の中の空間が充分に確保できているか確認しましょう。口が閉じやすい状態であったり、横に広がりやすい状態などは、声が充分出しやすい状態とは言い切れないと思います。舌根と軟口蓋が近づかないよう、あくびなどの感覚を頼りに、口の奥が縦に広く保たれる状態を意識してみましょう。また、お腹での支えもできていない状態では、声を充分に支えることができません。下腹部や腰などを使い、声が浮かないようにしっかり支えるように心がけましょう。
そして、「歌う」というよりも、シンプルに「発音する」というイメージを持ちながら発声してみるとよいと思います。理想としてはネイティブなイタリア人が会話しているときのような声ですが、それに比べると、日本人は会話で声がしっかり鳴る状態というのが苦手な人が多いと思います。声を押し出す力というのは強すぎなくていいのですが(力みすぎてしまうので)、先に述べたような体の使い方と共に、しっかりはっきり声を使ってしゃべるイメージを大事にしていってください。(♭Я)
A. どのくらいの声量で歌えばよいかと言われれば「できるだけ大きな声で」というのが答えです。私も実践していますが、オペラの現場などで、指揮者や演出家に言われるまでは、「できるだけ大きく」「できるだけオーヴァーに」やるように心がけています。彼らに「もっと大きく」「もっとオーヴァーに」と言われるのは、とても恥ずべきことで、「少し小さくできますか」「少しやりすぎです」と言われたら、ニタっと笑って「うっす」というのです。大は小を兼ねるといいます。まず目指すべきは、大きな声、大きな表現です。というわけで、うすっぺらい声は情熱的にしましょう。
声がひらべったい人は、日常生活でも喜怒哀楽に乏しいのではないでしょうか。声の大小はおいて、まずは感情、演技の練習をするのです。特に感情を爆発するシーンの練習をします。「悲しいシーン」「怒っているシーン」「笑い転げるシーン」。泣く、怒鳴る、笑う。たとえ声が大きく出なくても、そのことを全力でやってみてください。それから感情を表現するのに声がついてきているかセルフチェックしてみましょう。体の問題としては、息のトレーニング、深く長く息が吐けるように、時間をかけてトレーニングするのです。(♭∴)
A. 直ります。まず、呼吸を大きく使うようにします。トレーニングではふんだんに吸って惜しみなく吐くつもりで、息を思い切り無駄遣いしてみましょう。実際そこまでの量の息を使わなくても歌えるのですが、たくさん使うことによってしか鍛えられないのです。そのうち適切な量がわかってきます。
声帯を閉めることも重要です。「閉める」と聞くと、そんなことをして大丈夫なのかと不安になるかも知れませんが、声帯はきっちり閉まってこそ本来の能力を発揮できます。喉を閉めるのとは違います。これはトレーナーの指導のもとで行いましょう。
そして横隔膜やお腹周りの筋肉を使いましょう。お腹で支えなくても声は出ますし、はじめはお腹と声の結びつきを感じるのは難しいかもしれません。でも、どんどんやってみましょう。次第に回路が繋がっていき、強固になります。
また、豊かな声は胸声と頭声のブレンドで生まれます。胸声が強い人は喉の開け方を研究しましょう。頭声ばかりになってしまう人は、ハミングなどでじっくり低音を体内にしみこませるように発声練習をするといいです。
声量というのはデシベル単位のみで表すことはできません。密度や指向性など、計測できない要素が多く含まれています。ですので、どのくらいの声量と表現することは難しいですが、常に今の自分のキャパを超えようと心がけて練習していれば、いつの間にか豊かな声は手に入るものです。(♯∂)