発声と音声表現のQ&Aブログ

ヴォイストレーニング専門の研究所内外の質問と、トレーナーと専門家のQ&Aブログです。 あくまで回答したトレーナーの見解であり、研究所全体での統一見解ではありません。また、目的やレベル、個人差により、必ずしもあなたにあてはまるとは限りません。参考までにしてください。 カテゴリーから入ってみると便利です。 【rf :他に詳しく答えているのがあるので、それを参考にしてくださいという表記です。】 引き続き、ご質問もお待ちしています。できるだけ順次とりあげていきます。

Q.私は身体が小さくて、肺活量もあまりありませんが、増やせますか。声や歌に肺活量は、関係あるのでしょうか。

A. 肺活量には個人差がありますが、決定的な要因ではないので、気にする必要はありません。肺活量が大きいにこしたことはありませんが、ないよりはあった方がよいといえるくらいです。肺活量が大きい方が有利な点はあっても、そうでないのに活躍しているヴォーカリストもたくさんいます。現実をみることです。肺活量は、成人を過ぎると、少なくなっていくそうです。

しかし、大切なのは呼気(呼気量)をどれだけ効率よく声に変えられるかということなのです。息がいくら多く吸えても、声として活かせないのであれば、意味がありません。

充分に自分の身体を使い切ること、全身で歌えるところまでトレーニングすることが大切です。いかに少ない呼気で無駄なく共鳴させられるかで、声や歌も決まります。

ささいなことを不向きな条件だと思ってしまう考え方が問題です。現実や時代をみて、自分をみて、変わらないものは考えないことです。たとえ、これまで類のないことでも、自分がはじめて成し遂げる、不可能と思われることさえ挑戦するくらいの気概をもちましょう。(♭π)

 

A. 身体が小さいという点は、ほとんど問題ないと思います。女子の体操選手やスピードスケートの選手で、身長が低いのに、華々しい活躍をされている選手は、たくさんいます。トレーニングをコツコツと続ければ、必ず歌うために有利な身体は、手に入れられるでしょう。また、日本のポップス界では、「背が低いと歌がうまい」という都市伝説まであるようです。T.M.Revolution西川貴教さんやhydeさんなども、決して高身長ではありません。また、MISIAさんも低身長なのに、とても迫力のある歌声です。実際の見た目も決して太ってはいないので、歌うのに必要な筋肉が、充分に発達しているのだろうと思います。

肺活量も、もちろんトレーニングで変化はするかもしれませんが、大切なことは、呼吸のパワーを、歌うことに合わせて、上達させていくことです。肩・胸・腹と、呼吸のために可動する部分を、無理のないように少しずつ発達させていけば、必ず、発声のトレーニングに取り組むうえで、有利になるでしょう。(♭Ξ)

 

A. 身体の小ささというのが、身長が中央値よりも低いということか、体重が痩せ気味ということなのかわかりませんが、基本的には問題はないと考えます。

肺活量と歌声というと、とても関係しているかのようですが、私個人の見解では肺活量と歌声というのは絶対的にイコールではありません。大きな器に大量の息を入れることができるのはとても素晴らしいです。しかし、それよりもいかにバランスよく声にしていけるかということを考えて学んでいくのも発声の学びです。息を大量に入れて吐くことができても、それがうまく声にならなければ意味はありません。かえって息漏れが多くても喉を傷めますし、声で押しすぎても喉を傷めます。小さな器でもそれを効率よく出していくことで、あなたの器(楽器)にあった声の出し方と出会えるはずです。

ただ、肺活量を増やすことや身体づくりもトレーニングの一環として加えることは決して無意味ではないと思います。ある意味身体づくりもトレーニングの一環と考えてよいでしょう。

自分の器を大きくするためのトレーニングといってもよいかもしれません。

また、痩せすぎの場合は声のバランスを保ちづらい場合がありますし、支えや身体の広がりを感じづらく、キープが難しくなることがあります。

声を出す楽器は自分自身の身体ですから、痩せすぎている場合はある程度の身体づくりを試みてもよいかもしれません。(♭Σ)

 

A. 肺活量を増やしたいのなら、何かしらの方法で増やせるかもしれません。ただ、それが単に声をよくするため、歌が上手になるためという目的だとしたらあまり意味がありません。肺活量が増える=声がよくなる・歌が上手になる、ということではないからです。たとえ肺に取り込む空気の量を増やしたとしても、その空気を活用できなければ歌にとっては役に立ちません。歌に必要なのは、肺に取り込んだ空気を使って「息をコントロールすること」なのです。それは肺だけでは行えません。横隔膜の働きが重要にはなりますが、横隔膜だけが頑張れるものでもありません。身体のさまざまな部位が協力し合ってはじめて実現するのです。ですので、ぜひ肺活量ではなく、身体を使って声を出すにはどうすればよいのか、という部分に注目しましょう。これには身体のサイズはまったく関係ないですし、まして人と比較するものでもありません。誰もが自分自身の身体を存分に活用していくことで、それが結果として声の出しやすさに繋がっていきます。(♯α)

 

A. 声や歌を充分にコントロールする上で、呼吸を自在にコントロールできるようになることは必要不可欠であり、肺活量が少ないよりも多い方がメリットは多くなると思います。何もトレーニングをしていない状態では、肺活量はどうしても少なくなりやすいと思いますが、トレーニングをすることによって、ある程度は増やすことは可能だと思います。生まれつきの身体のサイズは多少影響するかもしれませんが、身体が大きいから必ずしも肺活量も多いとは限りません。これまでの運動経験や呼吸の扱い方、声の出し方などでも変わってくるでしょう。また、その人のパーソナリティの部分も影響すると思います。極端な話、無口な人と、大きな声でたくさん喋るような人とでは、呼吸のコントロールの部分で差が出てくると思います。肺活量に余裕を持たせられるようにするためには、息の取り方と吐き方のどちらも訓練をしていくことが必要になると思います。トレーニングを積んでいない多くの人は、息を「吸った気になっている」場合や「吐いた気になっている」というだけで、本来持つ肺と呼吸に関連する部位を充分に活かし切れていないブレスになっているのです。(♭Я)

 

A. 解剖学の先生がこのようなテーマで授業をしていたことがありました。管楽器奏者なども参加していたので、歌の生徒以上に肺活量を気にしている様子でしたが、実際のところ、「肺活量はそんなに気にしなくてよい」という結論でした。肺活量とは、どれだけ吸えるかプラスどれだけ吐けるかということですが、1 cm前後の声帯を振動させる息の量というのは、実はそれほど多くなく、息をコントロールすることの方が重要ということでした。しかも吸おう吸おうとすると、身体はどんどん力み逆効果です。自然に入ってくるようにする方が得策なのです。肺のまわりの空間が筋肉や骨によってがちがちに固められることなく、スムーズに動くことができるような状態にしておくことが重要なのです。肺はそれ自体ではひろがることはできません。肺が入っている肋骨は、横隔膜や斜角筋(肋骨を引っ張り上げる筋肉)などによって胸郭を広げて、この筋肉を保つことで息をコントロールすることが可能になります。横隔膜や斜角筋の動きをコントロールしようと思えば、腹筋、背筋、身体のありとあらゆる筋肉が連動して働きます。筋肉をコントロールできるように、日々の訓練が必要になるわけです。ですから、体格はあまり関係ないといえるでしょう。 実際に私のイタリア人のオペラ歌手の先生は、私よりも小柄で身長155 cmないのですが、世界の劇場で長年、歌われてきました。(♯β)

 

A. 身体が小さくても肺活量が多く、大きな声が出せる人はたくさんいます。だから「身体が小さいから肺活量がないのではないか」と悩む必要はありません。肺活量がなくても、トレーニングで増やすことももちろんできます。

肺活量だけではありません。声にはいろいろな要素があります。身体の柔らかさも、滑舌も、感情移入も、必要です。生まれつきそれらの能力がある人もいれば、ない人もいるでしょう。なければ鍛えればよいのです。生まれつき能力があるより、訓練して克服した方が高い能力を発揮できるのだそうです。

ただ、ここで問題かもしれないのは「増やせますか」という質問そのものです。よく聞く質問と共通しているように思います。その質問とは「私は歌手になれますか」というものです。「なれません」と言われたらやめるのでしょうか。絶対なってやる、という心意気が大事なのではありませんか。

そもそも、歌を歌って人を感動させるという、不可能に近いことに挑戦しているのです。それからすれば、肺活量を増やすことなどなんでもありません。我々人類は、海から出てきたのです。それから考えれば不可能なことなど何もないのではありませんか。(♭∴)

 

A. 肺活量を増やすというと、肺そのものを大きくするようにイメージされるかも知れません。もちろん、強度の高い有酸素運動でトレーニングすることによって肺は発達しますが、それよりもまず持っているものを100パーセント使うことを考えましょう。

呼吸が弱い人は、肺を全部使わずに浅い呼吸をしています。意識的に全部吐き切って、鼻からゆっくり息を吸う練習をしましょう。もうこれ以上はいらなくなるまで、ただしよい匂いを嗅ぐようにゆったりとやるのがおすすめです。こうやって肺の全領域を使い、そのまわりの筋肉を大きく動かすことを身体に教えていくのです。

フレーズは息の続く範囲でしか繋げられないので、当然、肺活量が多い方がお得です。しかし単純に肺活量だけで息の持続時間が決まるわけではありません。無駄な息が漏れないようにしたり、工夫次第で息は長くなります。

また、身体が小さい人は、自分に似た体型のトレーナーのレッスンを受けてみるのも勉強になると思います。(♯∂)