A. お腹が割れるほどの筋トレは必要ないというのが私の見解です。イタリアの現役歌手達に話した際、呼吸のトレーニングなども含めて身体が固まる運動はやりすぎないとしている人たちの方が多かったのがとても印象的でした。しかしトレーニングをしないわけではない。ベンチプレスをあげたり、腕立て伏せをしたりしている人たちも多数いましたが、固まるほどやらない。あくまでも身体を温める、可動域を伸ばすといった感覚で取り入れている人が多いように感じました。呼吸の運動で身体を固めないということを意識している人も多かったです。
しかし、歌手活動を仕事として請け負う場合には一日数時間の稽古を毎日こなして本番にピークをもっていかなければいけません。そして、本番が重なってくると違うプロダクションの稽古が一日で複数重なることも普通にあります。そう考えると、体力向上、ストレスの発散などを目的とした腹筋運動を含む運動というのはとても重要だと考えます。
基本的にはアスリートと同じで身体を使って声をだしていく仕事ですので、身体が資本という考え方はとても重要です。その意味では日本でもヨガやピラティスなどを取り入れている歌手がとても増えてきました。
歌のために腹筋をしなければといって腹筋をしすぎることが問題なのだと思います。さまざまな場所をバランスよく鍛えることがとても重要だと考えています。体力の向上、身体のバランス感覚の向上、ストレスの発散などを目的とした腹筋運動ならばやりすぎない範囲で取り組んでよいのではと思っています。